2022年 やぶ医者は名医(2022/1/5)
藪(やぶ、または野巫)医者は未熟で下手な医者(2022/1/13)
働き盛りのコロナ死(2022/1/17)
味覚異常について(2022/1/24)
脳が痛みをつくる(2022/1/31)
溜飲を下げる(2022/2/7)
神の果実・柿(2022/2/14)
便秘を劇的に改善(2022/2/21)
ファクターXとは(2022/2/28)
頭痛必ずしも頭に病因非ず(2022/3/7)
漢方は何をめざすか(2022/3/15)
5種類の病気(2022/3/22)
岐阜は製薬発祥の地?(2022/3/28)
日本の薬剤師数が過剰?(2022/4/4)
漢方薬でコロナ治療(2022/4/11)
過去喫煙者、コロナ重症化1.5倍(2022/4/18)
しぶり腹はつらい(2022/4/25)
3つのめまい(2022/5/2)
AMR(薬剤耐性)問題(2022/5/16)
2つの喘息(2022/5/23)
脚気は江戸患い(2022/5/30)
小さな薬味の大きな役割(2022/6/6)
化膿とは(2022/6/13)
吉益東洞(よしますとうどう)(2022/6/22)
桂枝五物湯(2022/6/27)
噛む噛むエヴリバディ(2022/7/4)
かくと増えるかゆみのタンパク質(2022/7/12)
妊婦と薬(2022/7/19)
「つば」は歯の健康を守る(2022/7/25)
うつ病と自殺(2022/8/1)
国民皆歯科健診の必要性(2022/8/8)
夏の疲れの解消(2022/8/17)
寝違いの原因(2022/8/22)
「糖化」をご存じ?(2022/8/29)
糖化対策(2022/9/5)
2人に1人、3人に1人(2022/9/12)
飢餓を生き残るシステム(2022/9/20)
肥満や糖尿病はがんのリスク(2022/9/27)
健康寿命を延ばすには(2022/10/3)
多汗症(2022/10/11)
食養生はバランス(2022/10/24)
丸ごと食べる(2022/11/1)
旬を食べる(2022/11/7)
快便のために腸内環境を整える(2022/11/14)
茶の効用(2022/11/21)
腹式呼吸を心がける(2022/11/28)
海苔で健康(2022/12/12)
還暦過ぎたらシュークリーム(2022/12/19)
アンガーマネジメント(2022/12/28)

やぶ医者は名医(2022/1/5)
一般に、やぶ医者といえば適切な診療や治療能力を持たない医師をさす俗称・蔑称で、下手な医者のことです。
しかし、実は名医と呼ばれた養父(やぶ)の医者という説があります。

いつ頃のことでしょうか、ある名医が但馬(現在の兵庫県)の養父(やぶ)という所にひっそりと隠れるように住んでいて、
土地の人に治療を行っていました。
死にそうな病人を治すほどの治療を行うことも少なくなかったそうです。
その評判は広く各地に伝わり、多くの医者の卵が養父の名医の弟子となりました。
養父の名医の弟子といえば、病人もその家人も大いに信頼し、薬の力も効果が大きかったとのことです。
昔は名医のことを尊敬してやぶ医者と呼んでいたそうです。

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藪(やぶ、または野巫)医者は未熟で下手な医者(2022/1/13)
やぶ医者は名医のブランドでした(前回をを参照ください)。
しかし、このブランドを悪用する者が現れ、大した腕もないのに、自分は養父医者の弟子だと口先だけの医者が続出し、
養父医者の名声は地に落ち、いつしか「藪」、「野巫(やぶ)」(田舎に住んで、占い、呪術、まじないや悪霊祓いをする者)の字があてられ、
下手な医者を意味するようになったそうです。

下手な医者にもランクがあります。
たけのこ医者:たけのこが大きくなると竹になります。竹が沢山増えると竹藪に。
       たけのこはまだ藪に至らないことから、藪にもならない未熟な医者。
土手医者(どていしゃ):藪以下の全く見通しの利かない医者。
雀医者(すずめいしゃ):これから藪に向って飛んでいこうとする医者、などです。

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働き盛りのコロナ死(2022/1/17)
日本のコロナ感染者は全体でおおよそ6対4と男性が多いそうです。
専門家の見方では、日本の人口の男女比は女性の方が若干多く、そのことを考えると男性の方が女性よりも感染しているが、
これは男性の方が新型コロナに感染しやすいというよりも、日本の場合、男性の就業者の割合が多く、
人と接する機会が多いことが関係しているかもしれないということです。
しかし、東京都内で亡くなった50代以下の新型コロナウイルス感染者は8対2となり、あきらかに男性が多くなっています。
新型コロナで重症化リスクとされる基礎疾患には高血圧、慢性肺疾患、心血管疾患などが知られていますが、
専門家によると、女性よりも男性の方がこれらの基礎疾患を持つ割合が高いそうです。
また、肥満も男性の方が女性よりも割合が高く、これらの基礎疾患の誘引となるような喫煙や飲酒も男性の方が嗜む人が多いことも
遠因として関連しているということのようです。

Withコロナと言われる時代、自分の身体との付き合い方も考えていく必要がありそうです。
当店では、肥満改善の漢方薬なども取り揃えています。ぜひご相談ください。

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味覚異常について(2022/1/24)
鼻づまりや慢性鼻炎があって、嗅覚異常を感じる方におすすめしている漢方薬に麗沢通気湯加辛夷(れいたくつうきとうかしんい)があります。
新型コロナウイルスに感染すると、においや味がわからなくなる後遺症に悩む人がいらっしゃるということで注目されるようになった味覚異常。
じつは、食べ物の味は、味覚だけで感じているわけではありません。
味は舌で感じる味覚、においを感じる嗅覚、食べる前の視覚、噛む時の音を聞く聴覚、歯ごたえやピリピリする食感(触覚)など、
五感からのいろいろな情報が合わさって感じています。
特に、重要なのは味覚と嗅覚です。

嗅覚は鼻の中の上の方のある部分に、においのもとの物質が付着してにおいを感じています。
味がわからなくなるとか味が変わるなどの症状は、もしかすると嗅覚が原因かも知れません。

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脳が痛みをつくる(2022/1/31)
痛みには、けがや炎症で組織が傷つき、痛みの信号が出る侵害受容性疼痛(とうつう)と、
手術や事故、脳卒中などで神経が損傷して起きる神経障害性疼痛があります。
このどちらにも当てはまらないのが、痛覚変調性疼痛です。
これは国際疼痛学会が提唱したものです。
体の組織や神経に損傷がなくても生じる痛みで、脳の神経回路の変化で起きます。
まさに、脳が痛みをつくるケースです。

様々の要因で脊髄(せきずい)から脳にかけた痛みを生み出す神経回路が変化し、痛みが生じたり、痛みに過敏になったりします。
この痛みは、痛みへの恐怖、不安、怒りやストレスといった社会心理的な要因が大きく関係しています。
線維筋痛(せんいきんつう)症、過敏性腸症候群、腰、膀胱(ぼうこう)、骨盤(こつばん)の原因不明の慢性痛などに見られます。

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溜飲を下げる(2022/2/7)
溜飲(りゅういん、留飲とも書く)という言葉をご存じですか。
消化不良が原因で、胸やけがしたり、酸性のおくび(曖気:あいき)が上がる症状です。
今でいう逆流性食道炎などの機能異常です。
この溜飲を使ったことわざに「溜飲を下げる」という言葉があります。
溜飲のために、みぞおちや胸に違和感がありスッキリしない。
これをスッキリさせることが転じて、不平不満を解消して胸を晴らすこと、鬱憤(うっぷん)を晴らすことを意味します。

さて、この溜飲に効果がある漢方薬に茯苓飲(ぶくりょういん)があります。
頓服(とんぷく)的に、約1時間ごとに服用することもあります。
症状が治まれば服用を中止します。
このような患者は、逆流性食道炎があるにも関わらず、その訴えをおくび(曖気)にも出さないようです。
(曖気はゲップ。秘して口に出さないこと)

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神の果実・柿(2022/2/14)
中国が原産で、落葉高木の柿には、いろいろな効能があります。
実はもちろんのこと、ヘタ、葉、さらに柿渋にいたるまで利用される薬用植物です。
実にはビタミンCやAが豊富で、栄養価に富んでいます。
食べ過ぎると体を冷やしますが、二日酔いには最適。
ヘタ(柿蒂)はシャックリ止めに良く、葉は血圧を下げてくれます。
さらに、柿渋は抗菌・抗ウイルス、止血、消臭などの効果もあり、
最近では新型コロナウイルスを不活化させるとの発表もあり、期待されています。

「柿の実が赤くなれば、医者は青くなる」ということわざもあり、
ラテン語では、「神の果実」といわれるほど役立ち重宝されています。
昔、渋柿からつくる干し柿は旅の携行食として、お坊さんが利用しました。

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便秘を劇的に改善(2022/2/21)
我々が寝ている間に「大蠕動(だいぜんどう)」という大きな収縮運動が腸で起きています。
大腸はとてもデリケートで、夜、副交感神経がうまく働かなければ、この大蠕動が起きにくくなります。
大蠕動を直接妨げるのが大腸のガスです。
このガスを出すには、うつぶせで寝ます。
うつぶせになると直腸が上を向き、大腸のガスは空気より軽いので、自然と直腸の方へ動き、排出されます。

①まず、夜寝る前に、10分うつぶせで寝る。
②ヘソのあたりに枕やクッションなどを敷く。
③10分経ったら、体を左右に転がすようにひねる動きを5往復行う。

また、食養生のポイントは、
①便秘中はうどんなど消化吸収の良い炭水化物を取る。
②便秘が解消してから再発予防に食物繊維 (分解するときにガスをたくさん出す)を取るのがおすすめです。

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ファクターXとは(2022/2/28)
日本人の約6割にあると言われる白血球の型「HLA-A24」は、風邪の原因となる季節性コロナウイルスに対する免疫細胞が、
新型コロナウイルスの感染細胞も攻撃するという実験結果を、理化学研究所チームが発表しました。
細胞実験レベルですが、コロナウイルスへの交差免疫があり、
日本人で新型コロナの重症者が少ない要因「ファクターX」の一つである可能性が高いとされています。
「A24」を持つ人の免疫細胞「キラーT細胞」は、季節性コロナと新型コロナで、
共通する部分の分子に反応することがわかってきました。
過去に季節性コロナに感染した人が、新型コロナに感染すると、体内で眠っていたキラーT細胞が速やかに増え、
感染細胞を排除している可能性があるようです。

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頭痛必ずしも頭に病因非ず(2022/3/7)
おもてなし日本人の3~4人に1人は頭痛持ちだそうです。
ストレスに弱く緊張しやすい人に多い緊張性頭痛は2200万人、女性に多くこめかみ付近が痛い片頭痛が840万人ほどおられます。
気分の発散ができないコロナ禍の中ではもっと多くなっていることでしょう。
大切なものがたくさん詰まった頭だけに、原因がわかるまでは心配です。
頭痛には脳腫瘍や脳の血管障害(出血、梗塞)など重篤な病気のイメージもありますが、
ほとんどの頭痛は原因不明で軽症のもの、機能性の異常です。

片頭痛のほとんどは、お腹が冷えて手足が冷たい女性に多いもので、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)が最適です。
最も多い緊張性頭痛には、清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)、
お酒の飲み過ぎによる二日酔いの頭痛には五苓散(ごれいさん)が適しています。

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漢方は何をめざすか(2022/3/15)
あなたは病気になったら、西洋医学と東洋医学どちらの医学で治しますか。
日本は国民皆保険ですから、医院にかかればどちらでも治療できます。
一般的には西洋医学を選ぶ方が多いと思われますが、今や漢方を使う医師も増えているので、
東洋医学を選択する患者さんもいらっしゃるでしょう。

では東洋医学(漢方)はどのような病気の治療に向いているのでしょうか。
西洋医学ではもう難しいと言われた病気、あるいは、化学薬品が強過ぎて副作用が出るものなどにも。
さらに、西洋医学の検査ではどこにも異常がないのに、本人の自覚症状だけがいつまでもとれないなどもあるのではないでしょうか。
しかし、病気は西洋医学にしろ、東洋医学にしろ、医師や薬だけが治すものではありません。
病気は放っておいても自然に治るものもあるのです。
それが自然治癒力(免疫力)です。

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5種類の病気(2022/3/22)
入江祥史(いりえよしふみ)医師は漢方治療についてこうおっしゃっていました。
病気には5種類ある。
 ①放っておいても自然に治る病気(軽い風邪など)
 ②自然には治りにくいが、治療すれば完治する病気(傷の化膿(かのう)、脱水症など)
 ③放っておくと治らないが、治療によりコントロールが可能な病気
 ④治療法がない、非常に治りにくい病気
 ⑤症状があるが、いくら検査をしても異常が認められないもの(自律神経失調症など)
です。

病気前の状態に戻れるのは①と②でしょう。
一番多いのは③で、これには二通りあり、命に関わるもの(高血圧、糖尿病など)と
命に関わらないもの(花粉症、婦人科の生理痛など)があります。
①~③は西洋医学の治療が確立されており、④~⑤は西洋医学とは理論が違う東洋医学(漢方)でチャレンジできます。

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岐阜は製薬発祥の地?(2022/3/28)
岐阜には全国でも珍しい市立の岐阜薬科大学があり、
お隣・滋賀(しが)の県境には薬草がたくさん自生している伊吹山(いぶきやま)がそびえています。
『日本書紀』に美濃(みの)と薬のことが書かれており、
天武(てんむ)天皇は「百済(くだら)の僧を美濃に派遣し、オケラを煎じさせた」とあります。
また、平安時代の『延喜式(えんぎしき)』に、美濃から62種、飛騨(ひだ)から9種の生薬(全国でも多い方)が
朝廷に納められていたとの記述が。

また、江戸時代、大垣藩(おおがきはん)の江馬蘭斎(えまらんさい)が蒸気風呂を開発し、
リウマチや神経痛、皮膚病などの治療に役立て、飯沼慾斎(いいぬまよくさい)が『草木図説(そうもくずせつ)』をまとめました。
岐阜薬科大学の設立の趣旨にも「伊吹山の薬園は昔から有名で、信長の時代には、南蛮の薬草もここに移植。
この得難き天来の伊吹薬園の存在のため誠に研究上にも利便を得る」とあったそうです。

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日本の薬剤師数が過剰?(2022/4/4)
日本の人口当たりの薬剤師数が先進国の中で群を抜いて最多であることが、経済協力開発機構(OECD)の発表でわかりました。
2000年の段階で既に1位で、18年までの増加数もトップで、他国を大きく引き離しています。
かつて薬は病院内で受け取る形が一般的でしたが、「医薬分業」が推進され、薬局数が増えたことも背景にあります。
医師や歯科医師などの医療従事者と同じ6年の修学年限にして、薬科大学や薬学部を増設した結果、薬剤師の数が増えました。

一方、2009年には改正薬事法により登録販売者制度が誕生しました。
薬剤師でなくても登録販売者という専門資格を取得すればOTC※(一般用医薬品)を販売できる(第2類・第3類医薬品に限る)というものです。
国がセルフメディケーションを推進していることもあり、 登録販売者の需要も高まっています。

※OTC医薬品とは
 医師による処方箋がなくても購入できる医薬品のことです。
 登録販売者が扱える第2類・第3類医薬品は一般用医薬品の中で「9割以上」を占めていると言われています。
 漢方薬ではほとんどの商品が第2類医薬品に分類されています。

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漢方薬でコロナ治療(2022/4/11)
今年1月に『日経メディカル』という雑誌に
新型コロナウイルス陽性者37人に対する漢方薬治療の報告という記事が出ました。
その中で柴葛解肌湯(さいかつげきとう)が紹介されていました。
この処方は、風邪の引き始めというよりは、もっと進行して、全身におよんだ激しい感冒の症状を示すものに使用されます。

小太郎漢方製薬から発売されていますが、添付文書によると
「体力中等度以上で激しい感冒様症状を示すものの次の諸症:
発熱、悪寒、頭痛、四肢の痛み、全身倦怠、口渇、食欲不振、はきけ、鼻腔乾燥、不眠」とあります。
葛根湯(かっこんとう)に小柴胡湯(しょうさいことう)、
桔梗石膏(ききょうせっこう)を合方すると似た処方になります。

他に紹介されていたのは大青竜湯(だいせいりゅうとう)です。
これは、麻黄湯(まおうとう)に越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を合わせたような処方です。

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過去喫煙者、コロナ重症化1.5倍(2022/4/18)
過去に喫煙歴がある新型コロナウイルスの入院患者は、症状が重症化するリスクが喫煙歴のない患者に比べて
1.5~1.9倍になると、国立国際医療研究センターが研究結果をまとめました。
感染リスクも、喫煙していた人は、喫煙歴のない人の3~5倍になるといいます。
喫煙歴はあるが現在は禁煙している「過去喫煙者」の男性が人工呼吸器の使用や死に至るほど重症化するリスクは、
喫煙歴がない男性に比べ1.51倍、同女性では1.94倍となります。

一方、入院当時も喫煙習慣のあった「現在喫煙者」は過去喫煙者ほど重症化リスクは高くありませんでした。
過去喫煙者のリスクが上がるのはタバコに関連する病気になった後に禁煙した人が多いとみられ、
その病気によって重症化リスクが高まった可能性があるといわれています。

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しぶり腹はつらい(2022/4/25)
しぶり腹(テネスムス)はつらい症状です。
便意を催すのに排便がない。また、便意はあっても少量しか出ないが、頻繁に便意を催す。
このような状態がしぶり腹です。
漢方では、裏急後重(りきゅうこうじゅう)といって、下痢の一種です。
このタイプの下痢を痢疾(りしつ)といいます。

痢疾は赤痢やO-157などの感染症や食中毒で起きます。
痢疾では細菌が腸に残るので、薬などですぐに止めてはいけません。
しんどいですが、便と一緒に菌を出すようにしましょう。
黄連(おうれん)、黄柏(おうばく)などの抗菌力のある生薬を配した黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)や大黄(だいおう)など下剤を配した三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)などを用います。
一方、細菌性でない胃腸虚弱で冷え性の方に多い慢性下痢は泄瀉(せっしゃ)といい、
人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、附子(ぶし)などを配した参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)や人参湯(にんじんとう)、
真武湯(しんぶとう)などを用います。

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3つのめまい(2022/5/2)
はっきりとした発生メカニズムが解明されていない部分もありますが、
体の平衡感覚を保つ機能にトラブルが生じた場合、めまいが起きると考えられています。

①回転性のめまい:グルグル目が回る。自分や周囲が動いているように感じる。メニエール病のようなめまい。
②身体動揺性のめまい:フワフワする。真直ぐに歩けない。時に脳に異常が発生していることがあるので、軽く考えない。
③意識喪失性のめまい:クラッとする(立ちくらみ)。目の前が真っ暗。起立性調節障害や脳貧血など。

①には沢瀉湯(たくしゃとう)、
②には真武湯(しんぶとう)、
③には苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)を用います。
沢瀉湯は沢瀉(たくしゃ)と白朮(びゃくじゅつ)の2味から成り、薬味が少ないので、速効性があります。
この処方がない時は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、五苓散(ごれいさん)など沢瀉・白朮を配合した処方も用いられます。

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AMR(薬剤耐性)問題(2022/5/16)
AMRとは、細菌が増えるのを抑える抗菌薬(抗生物質)が効かなくなる状態です。
耐性を持った薬剤耐性菌によって、世界では毎年約70万人、日本でも約8千人が感染症で命を落としています。
抗生物質が効かなくなると、手術ができなくなるなど、治療可能な病気が生命に深刻な影響をもたらします。

抗生物質がなかった昔は、漢方の清熱薬(抗菌薬的な作用)がいろいろ使われました。
抗菌作用が期待される黄連(おうれん)・黄芩(おうごん)・黄柏(おうばく)などが配合された荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)、
三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などで重篤でない病気を治療していました。
また、金銀花(きんぎんか)、連翹(れんぎょう)、桔梗(ききょう)、板藍根(ばんらんこん)などの
清熱解毒薬では化膿まで治癒できるものがあります。

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2つの喘息(2022/5/23)
気管支喘息とは、咳や痰が長く続き、呼吸すると聞こえる「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)があります。
咳が続き、時に呼吸困難が起きます。
症状は一過性ですが、繰り返します。
夜間から早朝にかけて発作がでやすいことが多く、アレルギー体質の人が多いのが特徴です。
もうひとつの喘息は、60歳以降の初老期で、発作性の呼吸困難が起きるのが心臓性喘息です。
症状は気管支喘息とほとんど変わりませんが、気管支の痙攣(けいれん)が内腔を狭くする場合と違って、
心臓に異常を起こす心不全や弁膜症などで、血流が悪くなったり、逆流したりして、
肺に水がたまり、肺水腫を起こしていることが多い喘息です。

前者には麻黄(まおう)剤の小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、
後者には防已(ぼうい)剤の木防已湯(もくぼういとう)で水を抜く治療をします。

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脚気は江戸患い(2022/5/30)
徳川幕府の時代、江戸では武士が多く、一般に白米を食する文化があり、
そのため脚気(かっけ)は江戸に多い病気と言われていました。
今では、ビタミンB1の不足で起きることがわかり納得です。
脚気は悪化すると、手足のしびれやむくみ、息切れなどの症状が現われます。
脚気は昔ながらの病気ではなく、食生活が豊かになった現代でも散見されます。
外食やインスタント食品など、栄養が偏った食生活によりビタミンB1が不足してしまうからです。

また、発汗やエネルギー消費が増加する夏場は要注意です。
そんな時は、ビタミンB1に富んだ豚肉、豆類、ゴマなどを意識して食べるようにしましょう。

むくみや息切れなどが気になる時は、漢方の九味檳榔湯(くみびんろうとう)をぜひお試しください。

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小さな薬味の大きな役割(2022/6/6)
もうすぐ梅雨。ジメジメとうっとうしい季節がやってきます。
ざる蕎麦や冷やそうめんなどあっさりしたものが恋しくなります。
そんな夏に欠かせないのが、香辛料のシソ、サンショウ、ショウガ、ワサビなどの薬味。
これら香辛料はなぜ薬味というのでしょうか。
薬草として使われていたから、また役に立つからなどいろいろな説があります。

薬味はただの飾りではなく、何らかの効能をもった有益なものです。
刺身などの腐りやすい食品に多く添えられるシソには防腐殺菌の働きがあります。
サンショウは脂っこさを消すだけではなく、解毒作用に優れています。
旬のカツオなどによく使われるショウガは青魚に多い寄生虫を殺す成分があることがわかっています。
これら薬味を上手に使ってこの季節を乗り切りましょう。

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化膿とは(2022/6/13)
漢方の世界では、「熱よりも強いものは火である。火より強いものは毒と呼ばれる」と考えます。
すなわち兆候として発赤、腫脹、発熱、疼痛などを起こす炎症(熱)は、激しく(火)なり、化膿(熱毒)します。
化膿は菌と白血球との戦いの残骸でもあります。
この膿を体外に排泄するのに使うのが荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)です。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)に排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)を合方してもよいでしょう。
普通は本方で改善することが多いのですが、虚弱で抵抗力がない方では、上手く排膿しないケースがあります。
そんな時には千金内托散(せんきんないたくさん)という処方を使うとスムーズに排膿してくれます。

体内の膿を外へ誘導する托法(たくほう:黄耆(おうぎ)・当帰(とうき)などで膿を軟化)を使っています。
お年寄りの床ずれが治りにくいときにも用います。

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吉益東洞(よしますとうどう)(2022/6/22)
中国から伝わった漢方医学にはいろいろな流派があります。
日本では、大きくは古方(こほう)派と後世方(ごせいほう)派の2つに分けられます。
陰陽(いんよう)論、五行(ごぎょう)説などの理論を重んじる後世方派の方が先に日本へ入ってきたのですが、
江戸時代中期に復古思想が盛んになり、漢方も原点の『傷寒論(しょうかんろん)』『金匱要略(きんきようりゃく)』に
帰る考え方が大きくなりました。
そして、理論より実践的な古方が重視されてきました。
そこに登場したのが吉益東洞(よしますとうどう)です。
広島出身の漢方医ですが、地元では成功せず、京都に出てきて東洞院の近くで暮らしていたことで、このような名前を名乗っていました。
名医の山脇東洋(やまわきとうよう)の推挙で世に出た東洞は、
特に腹診(ふくしん)を重視し、激しい治療を行ったことでも有名です。

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桂枝五物湯(2022/6/27)
前回、古方派の中興(ちゅうこう)の祖といわれる名医の吉益東洞(よしますとうどう)をとりあげましたが、
彼がつくった処方に桂枝五物湯(けいしごもつとう)という口中の病気に用いる漢方があります。

桂枝五物湯は桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりょう)、桔梗(ききょう)、黄芩(おうごん)、地黄(じおう)の5つの生薬からなります。
急な歯の痛み、歯槽膿漏で歯茎が腫れる、歯が浮く、口臭が気になる、
口の粘膜や舌が荒れて痛むなどを目標に、口中の急性症状に用いて効果があります。
今年度の4月に小太郎漢方製薬から新発売しています。
ぜひお試しください。

また、東洞は化膿治療の漢方薬・排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)も創薬しています。
排膿散と排膿湯を合わせた処方で、化膿全般(化膿初期から後期まで)に幅広く使える漢方です。
東洞はすべての病は一つの毒によって生じ、この病毒を強い作用の薬の毒力をもって制するという思想、「万病一毒説」を唱えました。
決して排膿散及湯が毒ということではなく、毒を排除することこそ治療の基本だという漢方医学を実践した東洞らしい処方でもあります。

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噛む噛むエヴリバディ(2022/7/4)
現代人は古代人にくらべ噛む回数が圧倒的に減っています。
卑弥呼の時代の食事、カワハギの干物、くるみ、栗、もち玄米のおこわなどを現代の女子大生に実際に食べてもらった結果、
一食当たり噛んだ回数は4000回、現代食(ハンバーグやスパゲティ、カレーなど軟らかくて食べやすい)では、
620回なので、実に6分の1に減っています。
ある報告によると、子供が噛む回数は、この50年で半分以下になったといわれています。
良く噛むことは体に良いと言われていますが、実際に
 ①脳の刺激になる(高齢者によい)、
 ②歯並びが良くなる、
 ③食べ物の消化を助け、栄養の吸収も良くなる、
 ④表情が良くなる、
 ⑤おいしく食べることができる、
 ⑥更に食事に時間がかかるので食べ過ぎない
など、良いことづくめです。

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かくと増えるかゆみのタンパク質(2022/7/12)
かゆい皮膚を繰り返しかいてしまうのは、かくことによって増えるタンパク質が原因だと、
九州大大学院の津田教授らの研究グループによって突き止められました。

アトピー性皮膚炎やアレルギー性の接触性皮膚炎といった長引くかゆみの原因の一つは、
かゆい皮膚を何度も繰り返しかくことで皮膚が炎症を起こし、さらにかゆみが増すという悪循環によると考えられてきました。
しかし、そのメカニズムは充分にわかっていませんでした。
かくという刺激によって、感覚神経で「NPTX2」というタンパク質が増えることを今回、研究グループが発見したそうです。
この増えたタンパク質が、かゆみを伝達する神経の活動を高め、さらにかゆみを生むという仕組みを明らかにしました。
(英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」より)

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妊婦と薬(2022/7/19)
妊娠初期(器官形成期:妊娠6~11週)には漢方薬といえども服用を控えるにこしたことはありません。
一般に漢方薬で催奇形性についての報告はありません。
しかし、妊娠中の薬は有益性が危険性を上まわる時のみ投与します。
妊娠初期には漢方薬といえども慎重に服用された方がよいでしょう。

妊娠中の母体は、通常血虚タイプと考えられているため、過度の発汗(陽気を損なう)、瀉下(陰血を損なう)、
利尿(体液を損なう)は禁忌とされています。
発汗・利尿による体力の消耗の防止や、瀉下による流産、早産の予防などのためです。
また、血虚タイプによい当帰芍薬散のような安胎薬もありますが、基本的に駆瘀血剤は慎むべきでしょう。
ほかに、妊婦には、麦門冬湯(子嗽)や小半夏加茯苓湯(つわり)などもよく使われます。

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「つば」は歯の健康を守る(2022/7/25)
健康な人が1日に分泌する唾液は1~1.5Lです。
食事の際に消化を助けるだけではなくて、口内の細菌を洗い流したり、声を出しやすくしたりしています。
歯の健康にも重要な役割を果たしています。
毎回の食事で酸性になった口の中を中和して、溶けた歯のエナメル質を修復する再石灰化を促すほか、歯石も予防してくれます。

義歯(入れ歯)の安定にも役立っています。
加齢とともに、唾液腺の活動は弱まります。
65~75歳を過ぎると、唾液分泌の減少が顕著になり、65~74歳で10.9%、75~84歳で16.9%の人が口のかわき(ドライマウス)を訴えています。

漢方では、甘露飲(かんろいん)という処方が役立ちます。
高齢者は体を鍛えるように、唾液腺もマッサージなどして鍛えることが大切です。

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うつ病と自殺(2022/8/1)
コロナ禍の中、自殺に関するニュースを目にするようになりました。
あの人はうつ病だったとか、最近テレビでも見かけなかったとか、病気や仕事などと関連づけて何となく納得したりしています。
確かに自殺は病気や仕事が大きな原因となることがありますが、
「死にたい」からではなく「苦痛のすべてを終わらせたい」からするのだと、ある精神科の先生がおっしゃっています。

「クヨクヨしやすい人」や「神経質な人」などメンタルの弱さではなく、「攻撃性」や「衝動性」といったものが自殺の危険性をはらんでいます。
自殺の男女比は7:3で男性が女性の倍以上です(日本だけでなく世界各国でもほぼ共通)。
「こころの視野狭窄」が脳機能の変調を招き、思考能力を低下させ、自殺によって現状から脱出したいと思うそうです。

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国民皆歯科健診の必要性(2022/8/8)
歯を失う原因で最も多いのが歯周病です。
生活習慣病といわれるこの病気は、初期を含めると80%以上の国民がかかっているとも言われています。
近年、歯周病と糖尿病、血管障害などの全身疾患が相互に影響を及ぼしていることが明らかになりました。
日本人の平均寿命にかかわる病気が、「国民皆歯科健診」により予防できるなら、医療費の削減につながるということで、
政府は2022年に検討し、2025年にはその導入を目指しています。

8020運動(80歳になった時に歯が20本以上ある状態を達成しようという取り組み)も含めて、オーラルケアはますます未病対策となっています。
歯科での定期的な歯のチェックも重要となりますが、「暴飲暴食」や「不規則な生活」など、日常の生活の乱れにより、
将来大切な歯を失ってしまわないよう、生活の改善も心がけましょう。

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夏の疲れの解消(2022/8/17)
夏本番、オフィスや通勤の電車などで、冷房が効き過ぎて寒いと感じたことはありませんか?
冷房による体の冷えや頭痛、肩こりなどが気になる方に、ぜひおすすめしたいのはお風呂です。
それも西洋式でシャワーではなく、湯船に浸かる温浴です。
湯船に浸かった時につい出る「ハー」という息には、休息時に働く副交感神経を刺激して、リラックス効果を高めてくれる働きがあります。
シャワーでは味わえない精神的な効用です。

その他、全身の血行がよくなり疲れが取れる、関節や筋肉など体全体の緊張がほぐれリラックスできる、
血液やリンパ液の循環がよくなるなど、疲れやすい夏の体にはうれしいものばかりです。
冬よりぬるめのお湯でじっくりと温まりましょう。

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寝違いの原因(2022/8/22)
朝、目が覚めた時、首が回らない「寝違い」を経験したことはありませんか。
痛みがひどいと、着替えなどの日常生活や仕事にも影響がでて困ってしまいます。
寝違いは冷えや疲れなどで凝り固まった首の筋肉に、睡眠中の無理な姿勢がさらなる負担となって起きる症状です。
筋肉の奥深くで筋繊維が傷ついて炎症や内出血を起こしているのです。
早く治そうとつい焦ってしまいがちですが、マッサージやストレッチでは逆効果。
なるべく首や頭を動かさないように気を付けて、痛みのあるうちは運動も控えましょう。
どちらかというと筋肉の炎症なので、まずは冷やすことです。

漢方には疎経活血湯という血行をよくして痛みを取り除く処方があります。
寝違いの際には、ぜひ一度お試しください。

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「糖化」をご存じ?(2022/8/29)
ホットケーキのおいしそうな焼き目は、材料に含まれる糖とタンパク質が加熱によりくっついてできたものです。
これが糖化です。
糖化したタンパク質は、時間が経つとAGEs(終末糖化産物)に姿を変えます。
AGEsは細胞や臓器に炎症を誘発して劣化させ、老化を促進します。
たとえば皮膚細胞が糖化されると、たるみやシワ、シミ、薄毛などが多い老け顔になったり、
ほかにも心臓病や高血圧、骨粗しょう症、アルツハイマー病、白内障など老年病を発症しやすくなったりします。

これらを予防するには、糖尿病の方が治療として取り組んでいるように、
食後血糖の急上昇や高血糖状態が長く続くのを避けることが大切です。
糖尿病の診断基準(指標)のHbA1c値は、まさに糖化の程度を現わします。

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糖化対策(2022/9/5)
誰もが避けられない老化。
糖化を予防することで、健康寿命を延ばすことが可能だといわれています。
まず血糖値を上げない食生活をすることです。

①適正な栄養バランスを。
②GI値※の低い食品を摂る。
③野菜から先に食べる。
④朝は抜かず、間食をしない。
⑤甘い物や清涼飲料水を摂り過ぎない。
⑥よく噛んでゆっくり食べる。
⑦抗酸化食品を摂り入れる。

次に、生活習慣を見直して抗糖化をめざしましょう。
①食後1時間以内に軽く体を動かす。
②筋肉量を増やす。
③睡眠を充分にとる。
④サーカディアンリズム(概日リズム)を意識する。
⑤アルコールはほどほどにし、タバコはやめる。
などです。
※GI値とは食品における食後の血糖値の上昇度合を示す指数。低いのは、玄米、全粉粒パン、蕎麦、高いのは、白米、食パンなど。

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2人に1人、3人に1人(2022/9/12)
一生のうち、日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなるといわれています。
こう聞くと、がんはいかに身近で、当たり前の病気になったのか、決して特別な病気ではないと感じます。
したがって、がんで亡くならない「3人に2人」になるためには、日頃から生活改善を心掛けて予防することが大切なのです。
皆様もご存じのように、がんは早期発見、早期治療すれば助かる確率が高い病気です。
日本のがん検診というと5大がん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がん)が有名で、
検診を受けても100%見つかるという保証はありません。
しかし、受けなければ早期発見はできません。

がんは遺伝子の老化といえる病気で、日本のような高齢化社会になれば、年齢とともに増えていくのが当たり前かもしれませんが、
その可能性を下げるために、私たちにできることはきっとあるはずです。

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飢餓を生き残るシステム(2022/9/20)
生物には、外界の変化に関わらず、体内の状態をなるべく一定に保つ「ホメオスタシス」と呼ばれる働きがあり、
その一つに血液中のエネルギー源である血糖値を自動調整する機能が存在します。
人類は食糧不足という過酷な環境の中で進化を遂げてきましたので、食べ物が足りなくても生存できる仕組みが備わっています。
たとえば、空腹でも体を動かせるように、アドレナリン、成長ホルモン、ステロイドホルモン、甲状腺ホルモンなど
血糖値を上げるホルモンがたくさん用意されています。

一方、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません。
これは、飢餓と隣り合わせで、日常的にエネルギー不足だった太古からの人類の暮らしに基づいています。
現代に糖尿病が増えているのはこのためなのでしょうか。

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肥満や糖尿病はがんのリスク(2022/9/27)
2017年に「全世界のがんの約6%は糖尿病と肥満が原因」とする研究結果が海外の研究チームより発表されました。
男性の肝臓がんでは33.3%、子宮体がんでは38.4%が肥満や糖尿病に起因すると推計しており、
特に関連が深いがんでは、比率が高くなるとされています。
さらにこの比率は2035年にはそれぞれ34.3%、47.9%にまで上昇すると予測しています。

日本人を対象とした調査研究でも肥満により、大腸がん、肝臓がん、乳がん、子宮がんなどのリスクが増えることが知られています。
糖尿病はさらに大きな発がん要因で、すい臓がんと肝臓がんをさらに3倍に、
大腸がんを1.4倍にし、がん全体でも1.2倍に増加させることがわかっています。
メタボは心臓病や脳卒中だけではなく、がんにも深く関わっているのです。

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健康寿命を延ばすには(2022/10/3)
人生100年時代。 2019年時点での健康寿命(仕事や家事、外出など日常生活に制限のない期間の平均)が昨年の年末に自治体の男女毎に公表されました。
2019年の平均寿命は男性81歳、女性87歳と年々延びており、健康寿命は一割程度短く、男性72歳、女性75歳でした。
健康寿命が特に高い自治体として、大分県、山梨県、三重県などが挙げられていました。

大分県では、①通いの場の参加率が全国1位、②事業所ぐるみで健康づくり、③歩数増を促すアプリ「歩得」。
山梨県では、①「無尽(むじん)」で定期的に集う、②働く高齢者の割合全国2位。
三重県では、①75歳未満がん死亡率の低さ全国2位、など
高齢者の生活習慣の改善と社会参加が推進されているようでした。

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多汗症(2022/10/11)
手の平や足の裏、わきや頭などに大量に汗をかく多汗症。
仕事や学業に支障が出て、若い世代で深く悩む人も少なくありません。
皮膚科学会の診療ガイドラインによると、原因不明の過剰な局所性発汗が6ヵ月以上持続して認められ、
次の6項目のうち2項目以上を満たした場合に「原発性局所多汗症」と診断されます。
 ①発症が25歳以下。
 ②左右対称(両側)に汗が出る。
 ③家族歴がある。
 ④睡眠中は発汗症状がみられない。
 ⑤多汗で困ることが1週間に1回以上ある。
 ⑥日常生活に支障をきたす。

多汗症の重症度は、その量ではなく、患者の困り具合で決まります。
精神的要因が多い多汗症には適応する漢方もたくさんあります。
黄耆(おうぎ:衛気虚(えききょ)改善)という生薬が配合された処方を主に用います。

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筋肉痛も必要(2022/10/17)
筋肉痛には2つあり、一つは、激しい運動中やその直後になる「即発性筋痛」。
これは筋肉内のイオンのバランスが崩れて痛みが起きると考えられます。
もう一つが、数時間から数日経過して起きる「遅発性筋痛」。
筋肉が損傷し、傷を治そうとその部位で炎症が起き、その時に出るプロスタグランジンなどが、
血管を通じて筋膜に向かってから痛みを感じるため時間差があります。

筋肉が壊れると、壊れた細胞を排除して細胞が入れ替わりますが、次に負荷がかかるときに備えて筋肉は太くなります。
これは「超回復(ちょうかいふく)」と呼ばれます。
筋トレなどで超回復を繰り返すことで、ムキムキになっていきます。
身動きできないほどの筋肉痛はよくありませんが、ある程度の筋肉痛(スクワットや少しがんばって歩くなど)は、
筋肉に適切な負荷がかかっている点で実はよいことなのです。

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食養生はバランス(2022/10/24)
食養生とは、好きな物だけを食する偏った食事を止めて、いろいろな物をバランスよく食べることです。
食養生ではその目安として1日五色のバランスのよい食事を摂ることを提案します。
五色とは青、赤、黄、白、黒のことで、青(緑)は野菜類、
赤は肉・魚、黄は穀物・豆類、白は乳製品・脂肪類、黒は海藻・きのこ類をさします。
栄養学的にみると、青はビタミン、赤はタンパク質、黄は炭水化物、
白は脂肪、黒はミネラルという五大栄養素に相当します。

漢方では、一般に五味が食養に応用されていますが、食事における五色のバランスが意味するところは、
栄養学的にはもちろん、色どりが美しいことは食欲や心の豊かさにも通じます。
食事は味だけでなく、五色も念頭に入れて目と頭で賢く食べたいものです。

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丸ごと食べる(2022/11/1)
食養に、1つのもの(一物)を残さずに全体を食べるという考え方があります。
一物全体食(いちぶつぜんたいしょく)です。
穀物も野菜も魚も、生きているものには余分で捨てるところなどありません。
お米なら玄米、小麦粉なら全粒粉というように、野菜は根から葉まで、小魚は頭から尾まで、すべて栄養があります。
スーパーの野菜売り場ではよく葉の部分が切り落とされた大根が並んでいます。
ビタミンCの豊富な葉を捨ててしまうのは残念です。

人参に含まれるβーカロテンは皮の下の部分に最も多く含まれ、
ジャガイモは皮つきのまま調理すると、ビタミンCの損失を抑えることができます。
皮ごと食べる場合は農薬の使用がどうなっているかにも気をつけたいところですが、
捨てるところがないということは、ゴミを減らすことができるためエコにもつながります。

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旬を食べる(2022/11/7)
季節に関係なく何でもスーパーで手に入る時代になり、今日の日本では旬というものがなくなってきたように感じます。
少し前はビニールハウス栽培で旬を先取りして販売していましたが、
植物工場で育てられている葉物野菜もあり、年中食べられるようになりました。
ナスやキュウリ、トマトは夏の食べ物で、旬の時期にこのような野菜を食べることで体を冷やしてくれます。
また、秋冬は体を温めてくれる根菜で寒い季節を乗り切りました。

春夏秋冬、四季折々変化に富んだいわゆる旬の作物や食材をとることは心身の健康に適しているということです。
旬の野菜は時期はずれに栽培したものよりも栄養価が高いばかりでなく、
たくさん採れることもあって経済的でもあるのです。

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快便のために腸内環境を整える(2022/11/14)
快便には腸内環境を整える必要があります。
便秘は食物繊維の不足や無理なダイエットによる食生活の乱れ、
ストレスによる自律神経系の乱れ、運動不足による腹筋の衰退に起因します。
食物繊維には便の水分を増やして軟らかくする水様性のもの(野菜、イモ、果物、海藻)と、
便のカサを増やす不溶性のもの(豆類、穀類)があります。
水様性のものは水分保持力が強く、不溶性のものは腸の運動を盛んにし、糞便量を増加させます。

最近では、腸内細菌叢(腸内フローラ)が話題になっていますが、
腸内の善玉菌であるビフィズス菌を増やすものは、バナナ、ニンジン、パセリ、マンゴーなどの水様性食物繊維です。
また、排便につながる腸の蠕動運動は、副交感神経が優位な時に活発になります。
食後は、腸の血流が盛んになりますので、この時間にリラックスタイムを設けると朝の快便が期待できます。

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茶の効用(2022/11/21)
茶は江戸時代まで庶民が飲用する習慣がなく、薬として飲まれていました。
宋(そう)へ留学していた禅宗の栄西(えいさい)が『喫茶養生記(きっさようじょうき)』で広めました。
「五臓の調和を保つためには、酸苦甘辛鹹(さんくかんしんかん)の五味を摂ることが必要で、
日本人は特に苦味が不足しがちで、心臓が弱って若死にする。茶を飲むことで苦味を補うべきである」
と記されています。

茶の成分にはカフェイン、カテキンなどのポリフェノール、ビタミンC、フッ素、テアニンなどがあり、
抹茶のように茶を丸ごと飲めば脂溶性ビタミンや食物繊維も摂取できます。
主な効能として、ポリフェノールによる活性酸素除去によるがん、認知症、脳梗塞、老化の予防、
コレステロール抑制による肥満、糖尿病、殺菌・抗ウイルス作用によるインフルエンザ、O‐157の食中毒の予防、
腸内の善玉菌の増加による免疫増強などが報告されています。

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腹式呼吸を心掛ける(2022/11/28)
通常の呼吸は自然呼吸といいますが、意識した呼吸を意識呼吸といい、気功やヨガ及び深呼吸、笑いがこれにあたります。
意識呼吸の一つに腹式呼吸があります。
これは、自律神経の中で副交感神経を優位にする呼吸法で、リラックスしたいときに効果があります。
呼気(こき:息を吐くこと)と吸気(きゅうき:息を吸うこと)の時間を2:1~4:1の割合で行い、
呼気は口を少し細くして口から出し、吸気は鼻から吸い込みます。
この時に背筋を伸ばして、無意識の状態(何も考えない)で行うとより効果があります。

1回5~10分程度でよいので、就寝前や職場でストレスがたまった時に、どこでも時間があるときに試してみてください。
脳からセロトニンという癒しホルモンも分泌されますので、いろいろな生活習慣病の予防にも有効です。

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海苔で健康(2022/12/12)
白いご飯と黒い海苔といえば、昔から日本人には定番の朝食ですが、
じつはこの海苔には、普段不足しがちな栄養素がバランスよく含まれています。

まず葉酸(ようさん)。
これが不足すると二分脊椎症という胎児の先天性疾患につながります。
おにぎり1個を包む大きさの海苔を1枚とすると、海苔2枚(3g)だけでも、葉酸の量は1日必要量の3分の1になります。
次にビタミンB12。
これは赤血球をつくるのに必要なビタミンで、海苔3枚で1日の必要量の8割以上になります。
さらに食物繊維。
海苔の食物繊維は水に溶けやすい性質で、お通じをよくする効果が期待できます。
またヨウ素やビタミンAといった栄養素も比較的多く含まれています。

あくまでバランスの良い食事が基本ですが、大事な栄養を効率よくプラスするのに、海苔はうってつけです。

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還暦過ぎたらシュークリーム(2022/12/19)
年齢を重ねるごとに体と共に脳の衰えを感じる人も多いのではないかと思います。
しかし最新の研究で、脳の老化は高齢になったから起こるわけではなく、
90代でも刺激を与えれば成長することがわかりました。

認知症と無縁の健康な脳を保つためには、どんな生活を心掛ければよいのか、
20の習慣(医師を含めた専門家の監修)から、少し変わったものを取り上げてみました。
それが、「還暦過ぎたらシュークリームを食べましょう」です。
コレステロールは悪いものとされがちですが、コレステロールが不足すると、
心を安定させてくれるホルモン「セロトニン」の生成ができなくなり、精神が不安定になります。
特に60歳以降は、体内でつくられるコレステロールの量が減るので、肉や卵などを積極的に摂ることが大切です。
シュークリームはコレステロールが豊富なのでおすすめ、というわけです。

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アンガーマネジメント(2022/12/28)
明石市市長の市議への暴言が問題になり、引退に追い込まれるという事態になりました。
その時話題になった、怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」について考えてみます。
怒りは人間が生まれつき持っている感情で、「抑える」のではなく、「上手に付き合う」ことが大切です。
まず怒りに対する問題意識を持ってみることです。

①怒りを鎮める「6秒ルール」:怒りを感じたら、まず6秒間待ってみる。
②怒りを点数化する:待っている間に、怒りを点数化し、怒る必要があることなのかを自分で「線引き」する。
③怒りがわいたら、その場から離れる:①で辛抱できない時は対象から離れる。
④「〇〇すべき」という価値観を捨てる:自分のこだわりを分類して、許容範囲を徐々に広げていく。

6秒は案外長いものです。
慣れないうちは6秒待つこともたいへんかもしれませんが、気になっている方は試してみてはいかがでしょうか。

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