2018年 秋のアレルギー(2018/10/31)
咳いろいろ(2018/11/5)
なぜ、血圧を下げるのか?(2018/11/12)
口のかわき(2018/11/19)
その下痢、止めるの? 出すの?(2018/11/26)
漢方でロコモ対策(2018/12/1)
補肝腎強筋骨(2018/12/10)
屠蘇散(2018/12/17)
七草粥(2018/12/25)

秋のアレルギー(2018/10/31)
食欲の秋、スポーツの秋。漢方では、秋は容平(ようへい)(収穫の秋、花咲き物がみな実を結び、平らかに定まること)で、乾燥の季節です。
漢方の五行説では、秋は金の行に配され、肺、鼻、皮膚、大腸と関連が深い。
したがって、乾燥する秋は呼吸器の肺、鼻、皮膚の器官がトラブルを起こしやすくなります。
そのトラブルのうち、肺(気管支)で起きる喘息、鼻で発症する花粉症、皮膚がかゆくなるアトピー性皮膚炎などは3大アレルギー疾患です。
最近の研究では、同じ金の行にある「大腸」が免疫の大元締めとなってアレルギーに関与していることがわかりました。
2000年もの前に考え出された漢方の理論が今も脈々と生き続けているのは、大変な驚きです。

五行説についてもっとお知りになりたい方はこちら

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咳いろいろ(2018/11/5)
秋は空気が乾燥して、肺や気管支を痛めやすく、呼吸器のトラブルを起こしやすい。
中でも咳や痰などの症状を訴える方が増えます。
咳の多くは肺や気管支が痰などの異物を取り除こうとする生理的な反射でもあることから、
単なる「咳止め」で止めてしまうと、かえって異物をノドに残し、病気を持続させたり、悪化させたりすることになります。

漢方には、「病を治すには、必ず本に求む」とあり、必ず五臓六腑(現在でいう内臓)のどこかに咳をする原因があるはずだと考えます。
それを充分に見極めることが大切です。
一般に、咳は肺の病変だから肺咳といわれ、小青竜湯や麻杏甘石湯などを用いることが多いですが、
腎や心、肝、脾などの病変であることもあり、専門家にしっかり鑑別してもらいましょう。

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なぜ、血圧を下げるのか?(2018/11/12)
日本において、高齢者の多くの方は降圧剤を飲んでおられます。
今、日本で最も多い病気はおそらく高血圧でしょう。
確かに血圧が高いと心臓や脳などの臓器の血管に障害が起き、心筋梗塞や脳卒中などの生活習慣病が発生しやすくなります。
その予防として、降圧剤で血圧を下げています。

一般に人は齢をとったり、と血圧が上がります。血管の老化や動脈硬化では、血圧を上げないと、血液が体のすみずみまで流れません。
降圧剤で血圧を下げると、必要とされている栄養が末端にまで届かなくなります。
降圧剤を服薬後、血圧値は正常に戻ったが、逆に頭がボーっとしたり、ふらついたりすることがあります。
そのような場合には、漢方薬の服用や足腰を使ってよく歩くことで、全身の血の巡りを改善します。

※ふらつきがひどい場合は、歩くのを控えましょう。

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口のかわき(2018/11/19)
口のかわきには、漢方では「口渇(こうかつ)」と「口乾(こうかん)」の2つがあります。
口渇は「ノドが渇いて湯水を飲みたがる」。
口乾は「口内が乾燥して、だ液が少なくなるが、特に湯水を欲しがらず、ただ口をすすぎたがる」。
口渇は熱証の方や体に炎症が起きている時に多く、口乾は虚証で、身体の体液(血水)が不足し、巡りが悪い時に訴えます。
口のかわきが糖尿病や熱中症で起きている場合は、その病自体を治せば口のかわきも良くなりますが、
そのような病もないのに、やけに口がかわくという場合はドライシンドローム(乾燥症候群)と考えられます。

ただ水を飲むだけでは解決しません。
漢方では、このような症状には甘露飲(かんろいん)や麦門冬湯(ばくもんどうとう)などを使います。

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その下痢、止めるの? 出すの?(2018/11/26)
下痢には感染性下痢「痢疾(りしつ)」と慢性下痢「泄瀉(せっしゃ)」があります。
痢疾は細菌(食中毒)によって起こるもので、炎症(熱)や腹痛を伴います。
便意をもよおしてトイレに駆け込んでも、実際のところ便はあまり出ません。
このような状態を何度も繰り返し、肛門が痛くなるばかり。

一方、泄瀉の方は、元々胃腸虚弱な上に、お腹が冷えたり、食べ過ぎたりするとサッと下ります。
体が痩せていて血色が悪い方によく見られます。
泄瀉タイプは慢性的に下痢しやすく、栄養が身に付かず、下痢をすると疲れてゲッソリします。
だから、このような慢性下痢は早く止めた方がよい訳です。
しかし、逆に痢疾はむやみに下痢を止めると細菌をお腹に残すことになりますので、出した方がよいのです。

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漢方でロコモ対策(2018/12/1)
日本人の平均寿命が80歳を超えて久しいですが、今はどちらかというと健康寿命という寿命の質を重視しています。
元気で自分の身の回りのことができればよいのですが、亡くなるまでの10年間寝たきりになったり、
思うように体を動かすことができなくなったりするなどで介護が必要となると、
老後の生活が不自由になり、家族にも苦労をかけることになります。

寝たきりになる原因のトップがロコモ(運動器の障害、運動器症候群)です。
次に脳卒中、認知症と続きます。
そうなると、せっかく長生きしても苦労の多い人生になってしまいます。
少しくらい腰やヒザが痛いからといって、それをかばって使わなくなると、さらにその部分が退化します。
寝たきりになる前の予防こそが大切です。
日頃からしっかりと足腰を使うことです。

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補肝腎強筋骨(2018/12/10)
齢をとるということは、骨や筋肉が衰えることでもあります。
漢方の五行説では、骨には腎、筋力には肝が関わっていると考えます。
したがって、漢方でいうところの腎や肝を強化することが運動器の治療に直結します。
そういうときに用いる漢方薬が独活寄生湯(どっかつきせいとう)です。
腎が弱ると骨が異常をきたし、充分に曲げることができなくなります。
また、肝が弱ると筋肉が衰え、充分に筋(すじ)を伸ばすことができなくなります。
特に階段の昇り降りは、昇る時に骨を使い、降りる時に筋を使うので、腎と肝が弱ると階段の昇り降りに苦労します。

独活寄生湯の働きは補肝腎強筋骨(ほかんじんきょうきんこつ)といって、
肝腎の働きを補って、筋肉や骨を強くすることで、階段の昇り降りも円滑にできるようになります。

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屠蘇散(2018/12/17)
お正月の風物詩・屠蘇散(とそさん)。
屠蘇散は、中国三国時代に華陀(かだ)という名医が十種類の薬草を調合して、酒に浸して飲んだのが始まりといわれています。
邪気を屠(ほふ)り、魂を蘇(よみがえ)らせるところから「屠蘇」と名付けられ、
「年の初めにこれを服する時は年中の災厄を避け、福寿を招く」と伝えられています。

また、日本では嵯峨天皇の弘仁年間に宮中の儀式として用いられたのが始まりと言われています。
以後、人々はこれに倣(なら)って1年間の健康を祈願する縁起行事として、お正月に屠蘇酒で新年を祝うようになりました。
大晦日の夜、お酒に一夜冷たく浸しておき、元旦、雑煮を祝う前に年少者より順次、新年の縁起と長寿を祈念して召し上がります。

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七草粥(2018/12/25)
人日(じんじつ)の節句(1月7日)の朝に、7種の野菜が入った「七草粥」を食べると邪気を払い万病を除くと古くから言い伝えられてきた風習があり、
この七草粥に用いる7種の野菜(草)を「春の七草」といいます。
お正月におせち料理やお餅を食べ過ぎて、疲れ気味の胃を休めるための薬膳食が七草粥です。
その七草には、
 ●なずな(ぺんぺん草)
 ●せり(芹)
 ●ごぎょう(御形、母子草)
 ●はこべ(ら)
 ●ほとけのざ(田平子)
 ●すずな(蕪)
 ●すずしろ(大根)
七草のうち、すずな、すずしろの2つには、根にジアスターゼ、葉にはカロテン、ビタミンC、カルシウムが含まれていて、胃腸の働きを助けます。
お正月におせち料理やお餅を食べ過ぎて、疲れ気味の胃を休めるための薬膳食が七草粥なのです。

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