漢方つれづれ

 
2022年9月27日(月)
肥満や糖尿病はがんのリスク
 2017年に「全世界のがんの約6%は糖尿病と肥満が原因」とする
研究結果が海外の研究チームより発表されました。
男性の肝臓がんでは33.3%、子宮体がんでは38.4%が肥満や糖尿病に起因すると推計しており、
特に関連が深いがんでは、比率が高くなるとされています。
さらにこの比率は2035年にはそれぞれ34.3%、47.9%にまで上昇すると予測しています。

日本人を対象とした調査研究でも肥満により、大腸がん、肝臓がん、
乳がん、子宮がんなどのリスクが増えることが知られています。
糖尿病はさらに大きな発がん要因で、すい臓がんと肝臓がんをさらに3倍に、
大腸がんを1.4倍にし、がん全体でも1.2倍に増加させることがわかっています。

メタボは心臓病や脳卒中だけではなく、がんにも深く関わっているのです。

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2022年9月20日(火)
飢餓を生き残るシステム
 生物には、外界の変化に関わらず、体内の状態をなるべく一定に保つ
「ホメオスタシス」と呼ばれる働きがあり、
その一つに血液中のエネルギー源である血糖値を自動調整する機能が存在します。

人類は食糧不足という過酷な環境の中で進化を遂げてきましたので、
食べ物が足りなくても生存できる仕組みが備わっています。
たとえば、空腹でも体を動かせるように、アドレナリン、成長ホルモン、
ステロイドホルモン、甲状腺ホルモンなど
血糖値を上げるホルモンがたくさん用意されています。

一方、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありません。
これは、飢餓と隣り合わせで、日常的にエネルギー不足だった太古からの
人類の暮らしに基づいています。
現代に糖尿病が増えているのはこのためなのでしょうか。

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2022年9月12日(月)
2人に1人、3人に1人
 一生のうち、日本人の2人に1人はがんになり、
3人に1人はがんで亡くなるといわれています。
こう聞くと、がんはいかに身近で、当たり前の病気になったのか、
決して特別な病気ではないと感じます。
したがって、がんで亡くならない「3人に2人」になるためには、
日頃から生活改善を心掛けて予防することが大切なのです。

皆様もご存じのように、がんは早期発見、早期治療すれば助かる確率が高い病気です。
日本のがん検診というと5大がん
(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がん)が有名で、
検診を受けても100%見つかるという保証はありません。
しかし、受けなければ早期発見はできません。
がんは遺伝子の老化といえる病気で、日本のような高齢化社会になれば、
年齢とともに増えていくのが当たり前かもしれませんが、
その可能性を下げるために、私たちにできることはきっとあるはずです。

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2022年9月5日(月)
糖化対策
 誰もが避けられない老化。
糖化を予防することで、健康寿命を延ばすことが可能だといわれています。
まず血糖値を上げない食生活をすることです。

①適正な栄養バランスを。
②GI値※の低い食品を摂る。
③野菜から先に食べる。
④朝は抜かず、間食をしない。
⑤甘い物や清涼飲料水を摂り過ぎない。
⑥よく噛んでゆっくり食べる。
⑦抗酸化食品を摂り入れる。

次に、生活習慣を見直して抗糖化をめざしましょう。
①食後1時間以内に軽く体を動かす。
②筋肉量を増やす。
③睡眠を充分にとる。
④サーカディアンリズム(概日リズム)を意識する。
⑤アルコールはほどほどにし、タバコはやめる。
などです。
※GI値とは食品における食後の血糖値の上昇度合を示す指数。
 低いのは、玄米、全粉粒パン、蕎麦、高いのは、白米、食パンなど。

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2022年8月29日(月)
「糖化」をご存じ?
 ホットケーキのおいしそうな焼き目は、材料に含まれる糖と
タンパク質が加熱によりくっついてできたものです。
これが糖化です。
糖化したタンパク質は、時間が経つとAGEs(終末糖化産物)に姿を変えます。
AGEsは細胞や臓器に炎症を誘発して劣化させ、老化を促進します。

たとえば皮膚細胞が糖化されると、たるみやシワ、シミ、
薄毛などが多い老け顔になったり、ほかにも心臓病や高血圧、骨粗しょう症、
アルツハイマー病、白内障など老年病を発症しやすくなったりします。
これらを予防するには、糖尿病の方が治療として取り組んでいるように、
食後血糖の急上昇や高血糖状態が長く続くのを避けることが大切です。

糖尿病の診断基準(指標)のHbA1c値は、まさに糖化の程度を現わします。

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2022年8月22日(月)
寝違いの原因
 朝、目が覚めた時、首が回らない「寝違い」を経験したことはありませんか。
痛みがひどいと、着替えなどの日常生活や仕事にも影響がでて困ってしまいます。

寝違いは冷えや疲れなどで凝り固まった首の筋肉に、
睡眠中の無理な姿勢がさらなる負担となって起きる症状です。
筋肉の奥深くで筋繊維が傷ついて炎症や内出血を起こしているのです。
早く治そうとつい焦ってしまいがちですが、マッサージやストレッチでは逆効果。
なるべく首や頭を動かさないように気を付けて、
痛みのあるうちは運動も控えましょう。
どちらかというと筋肉の炎症なので、まずは冷やすことです。

漢方には疎経活血湯という血行をよくして痛みを取り除く処方があります。
寝違いの際には、ぜひ一度お試しください。

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2022年8月17日(水)
夏の疲れの解消
 夏本番、オフィスや通勤の電車などで、冷房が効き過ぎて
寒いと感じたことはありませんか?

冷房による体の冷えや頭痛、肩こりなどが気になる方に、
ぜひおすすめしたいのはお風呂です。
それも西洋式でシャワーではなく、湯船に浸かる温浴です。
湯船に浸かった時につい出る「ハー」という息には、
休息時に働く副交感神経を刺激して、リラックス効果を高めてくれる働きがあります。
シャワーでは味わえない精神的な効用です。

その他、全身の血行がよくなり疲れが取れる、関節や筋肉など体全体の緊張がほぐれ
リラックスできる、血液やリンパ液の循環がよくなるなど、
疲れやすい夏の体にはうれしいものばかりです。

冬よりぬるめのお湯でじっくりと温まりましょう。

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2022年8月8日(月)
国民皆歯科健診の必要性
 歯を失う原因で最も多いのが歯周病です。
生活習慣病といわれるこの病気は、初期を含めると
80%以上の国民がかかっているとも言われています。

近年、歯周病と糖尿病、血管障害などの全身疾患が
相互に影響を及ぼしていることが明らかになりました。
日本人の平均寿命にかかわる病気が、「国民皆歯科健診」により予防できるなら、
医療費の削減につながるということで、政府は2022年に検討し、
2025年にはその導入を目指しています。

8020運動(80歳になった時に歯が20本以上ある状態を達成しようという取り組み)も含めて、
オーラルケアはますます未病対策となっています。
歯科での定期的な歯のチェックも重要となりますが、
「暴飲暴食」や「不規則な生活」など、日常の生活の乱れにより、
将来大切な歯を失ってしまわないよう、生活の改善も心がけましょう。

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2022年8月1日(月)
うつ病と自殺
 コロナ禍の中、自殺に関するニュースを目にするようになりました。
あの人はうつ病だったとか、最近テレビでも見かけなかったとか、
病気や仕事などと関連づけて何となく納得したりしています。
確かに自殺は病気や仕事が大きな原因となることがありますが、
「死にたい」からではなく「苦痛のすべてを終わらせたい」からするのだと、
ある精神科の先生がおっしゃっています。

「クヨクヨしやすい人」や「神経質な人」などメンタルの弱さではなく、
「攻撃性」や「衝動性」といったものが自殺の危険性をはらんでいます。
自殺の男女比は7:3で男性が女性の倍以上です
(日本だけでなく世界各国でもほぼ共通)。
「こころの視野狭窄」が脳機能の変調を招き、思考能力を低下させ、
自殺によって現状から脱出したいと思うそうです。

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2022年7月25日(月)
「つば」は歯の健康を守る
 健康な人が1日に分泌する唾液は1~1.5Lです。
食事の際に消化を助けるだけではなくて、口内の細菌を洗い流したり、
声を出しやすくしたりしています。

歯の健康にも重要な役割を果たしています。
毎回の食事で酸性になった口の中を中和して、
溶けた歯のエナメル質を修復する再石灰化を促すほか、歯石も予防してくれます。

義歯(入れ歯)の安定にも役立っています。
加齢とともに、唾液腺の活動は弱まります。65~75歳を過ぎると、
唾液分泌の減少が顕著になり、65~74歳で10.9%、75~84歳で16.9%の人が
口のかわき(ドライマウス)を訴えています。

漢方では、甘露飲(かんろいん)という処方が役立ちます。
高齢者は体を鍛えるように、唾液腺もマッサージなどして鍛えることが大切です。

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2022年7月19日(火)
妊婦と薬
 妊娠初期(器官形成期:妊娠6~11週)には漢方薬といえども
服用を控えるにこしたことはありません。
一般に漢方薬で催奇形性についての報告はありません。
しかし、妊娠中の薬は有益性が危険性を上まわる時のみ投与します。
妊娠初期には漢方薬といえども慎重に服用された方がよいでしょう。

妊娠中の母体は、通常血虚タイプと考えられているため、
過度の発汗(陽気を損なう)、瀉下(陰血を損なう)、
利尿(体液を損なう)は禁忌とされています。
発汗・利尿による体力の消耗の防止や、瀉下による流産、
早産の予防などのためです。
また、血虚タイプによい当帰芍薬散のような安胎薬もありますが、
基本的に駆瘀血剤は慎むべきでしょう。
ほかに、妊婦には、麦門冬湯(子嗽)や小半夏加茯苓湯(つわり)なども
よく使われます。

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2022年7月12日(火)
かくと増えるかゆみのタンパク質
 かゆい皮膚を繰り返しかいてしまうのは、かくことによって増える
タンパク質が原因だと、九州大大学院の津田教授らの
研究グループによって突き止められました。

アトピー性皮膚炎やアレルギー性の接触性皮膚炎といった長引くかゆみの原因の一つは、
かゆい皮膚を何度も繰り返しかくことで皮膚が炎症を起こし、
さらにかゆみが増すという悪循環によると考えられてきました。
しかし、そのメカニズムは充分にわかっていませんでした。

かくという刺激によって、感覚神経で「NPTX2」という
タンパク質が増えることを今回、研究グループが発見したそうです。
この増えたタンパク質が、かゆみを伝達する神経の活動を高め、
さらにかゆみを生むという仕組みを明らかにしました。
(英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」より)

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2022年7月4日(月)
噛む噛むエヴリバディ
 現代人は古代人にくらべ噛む回数が圧倒的に減っています。
卑弥呼の時代の食事、カワハギの干物、くるみ、栗、もち玄米のおこわなどを
現代の女子大生に実際に食べてもらった結果、
一食当たり噛んだ回数は4000回、
現代食(ハンバーグやスパゲティ、カレーなど軟らかくて食べやすい)では、620回なので、
実に6分の1に減っています。
ある報告によると、子供が噛む回数は、この50年で半分以下になったといわれています。

良く噛むことは体に良いと言われていますが、実際に
 ①脳の刺激になる(高齢者によい)、
 ②歯並びが良くなる、
 ③食べ物の消化を助け、栄養の吸収も良くなる、
 ④表情が良くなる、
 ⑤おいしく食べることができる、
 ⑥更に食事に時間がかかるので食べ過ぎない
など、良いことづくめです。

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2022年6月27日(月)
桂枝五物湯
 前回、古方派の中興(ちゅうこう)の祖といわれる名医の
吉益東洞(よしますとうどう)をとりあげましたが、
彼がつくった処方に桂枝五物湯(けいしごもつとう)という
口中の病気に用いる漢方があります。

桂枝五物湯は桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりょう)、桔梗(ききょう)、
黄芩(おうごん)、地黄(じおう)の5つの生薬からなります。
急な歯の痛み、歯槽膿漏で歯茎が腫れる、歯が浮く、口臭が気になる、
口の粘膜や舌が荒れて痛むなどを目標に、口中の急性症状に用いて効果があります。
今年度の4月に小太郎漢方製薬から新発売しています。
ぜひお試しください。

また、東洞は化膿治療の漢方薬・排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)も
創薬しています。
排膿散と排膿湯を合わせた処方で、化膿全般(化膿初期から後期まで)に幅広く使える漢方です。
東洞はすべての病は一つの毒によって生じ、
この病毒を強い作用の薬の毒力をもって制するという思想、
「万病一毒説」を唱えました。
決して排膿散及湯が毒ということではなく、毒を排除することこそ治療の基本だ
という漢方医学を実践した東洞らしい処方でもあります。

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2022年6月22日(水)
吉益東洞(よしますとうどう)
 中国から伝わった漢方医学にはいろいろな流派があります。
日本では、大きくは古方(こほう)派と後世方(ごせいほう)派の2つに分けられます。

陰陽(いんよう)論、五行(ごぎょう)説などの理論を重んじる後世方派の方が
先に日本へ入ってきたのですが、江戸時代中期に復古思想が盛んになり、
漢方も原点の『傷寒論(しょうかんろん)』『金匱要略(きんきようりゃく)』に
帰る考え方が大きくなりました。
そして、理論より実践的な古方が重視されてきました。
そこに登場したのが吉益東洞(よしますとうどう)です。
広島出身の漢方医ですが、地元では成功せず、京都に出てきて東洞院の近くで暮らしていたことで、
このような名前を名乗っていました。
名医の山脇東洋(やまわきとうよう)の推挙で世に出た東洞は、
特に腹診(ふくしん)を重視し、激しい治療を行ったことでも有名です。

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2022年6月13日(月)
化膿とは
 漢方の世界では、
「熱よりも強いものは火である。火より強いものは毒と呼ばれる」と考えます。
すなわち兆候として発赤、腫脹、発熱、疼痛などを起こす炎症(熱)は、
激しく(火)なり、化膿(熱毒)します。

化膿は菌と白血球との戦いの残骸でもあります。
この膿を体外に排泄するのに使うのが荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)です。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)に排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)を
合方してもよいでしょう。

普通は本方で改善することが多いのですが、虚弱で抵抗力がない方では、
上手く排膿しないケースがあります。
そんな時には千金内托散(せんきんないたくさん)という処方を使うと
スムーズに排膿してくれます。

体内の膿を外へ誘導する托法(たくほう:黄耆(おうぎ)・当帰(とうき)などで
膿を軟化)を使っています。
お年寄りの床ずれが治りにくいときにも用います。

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2022年6月6日(月)
小さな薬味の大きな役割
 もうすぐ梅雨。ジメジメとうっとうしい季節がやってきます。
ざる蕎麦や冷やそうめんなどあっさりしたものが恋しくなります。
そんな夏に欠かせないのが、香辛料のシソ、サンショウ、ショウガ、ワサビなどの薬味。
これら香辛料はなぜ薬味というのでしょうか。
薬草として使われていたから、また役に立つからなどいろいろな説があります。

薬味はただの飾りではなく、何らかの効能をもった有益なものです。
刺身などの腐りやすい食品に多く添えられるシソには防腐殺菌の働きがあります。
サンショウは脂っこさを消すだけではなく、解毒作用に優れています。
旬のカツオなどによく使われるショウガは
青魚に多い寄生虫を殺す成分があることがわかっています。
これら薬味を上手に使ってこの季節を乗り切りましょう。

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2022年5月30日(月)
脚気は江戸患い
 徳川幕府の時代、江戸では武士が多く、一般に白米を食する文化があり、
そのため脚気(かっけ)は江戸に多い病気と言われていました。
今では、ビタミンB1の不足で起きることがわかり納得です。

脚気は悪化すると、手足のしびれやむくみ、息切れなどの症状が現われます。
脚気は昔ながらの病気ではなく、食生活が豊かになった現代でも散見されます。
外食やインスタント食品など、栄養が偏った食生活により
ビタミンB1が不足してしまうからです。
また、発汗やエネルギー消費が増加する夏場は要注意です。
そんな時は、ビタミンB1に富んだ豚肉、豆類、ゴマなどを
意識して食べるようにしましょう。

むくみや息切れなどが気になる時は、
漢方の九味檳榔湯(くみびんろうとう)をぜひお試しください。

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2022年5月23日(月)
2つの喘息
 気管支喘息とは、咳や痰が長く続き、
呼吸すると聞こえる「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という
喘鳴(ぜんめい)があります。
咳が続き、時に呼吸困難が起きます。
症状は一過性ですが、繰り返します。夜間から早朝にかけて発作がでやすいことが多く、
アレルギー体質の人が多いのが特徴です。

もうひとつの喘息は、60歳以降の初老期で、発作性の呼吸困難が起きるのが心臓性喘息です。
症状は気管支喘息とほとんど変わりませんが、
気管支の痙攣(けいれん)が内腔を狭くする場合と違って、
心臓に異常を起こす心不全や弁膜症などで、血流が悪くなったり、
逆流したりして、肺に水がたまり、肺水腫を起こしていることが多い喘息です。

前者には麻黄(まおう)剤の小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、
後者には防已(ぼうい)剤の木防已湯(もくぼういとう)で水を抜く治療をします。

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2022年5月16日(月)
AMR(薬剤耐性)問題
 AMRとは、細菌が増えるのを抑える抗菌薬(抗生物質)が効かなくなる状態です。
耐性を持った薬剤耐性菌によって、世界では毎年約70万人、
日本でも約8千人が感染症で命を落としています。
抗生物質が効かなくなると、手術ができなくなるなど、
治療可能な病気が生命に深刻な影響をもたらします。

抗生物質がなかった昔は、漢方の清熱薬(抗菌薬的な作用)がいろいろ使われました。
抗菌作用が期待される黄連(おうれん)・黄芩(おうごん)・黄柏(おうばく)などが
配合された荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などで重篤でない病気を治療していました。
また、金銀花(きんぎんか)、連翹(れんぎょう)、桔梗(ききょう)、
板藍根(ばんらんこん)などの清熱解毒薬では化膿まで治癒できるものがあります。

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2022年5月2日(月)
3つのめまい
 はっきりとした発生メカニズムが解明されていない部分もありますが、
体の平衡感覚を保つ機能にトラブルが生じた場合、
めまいが起きると考えられています。

①回転性のめまい:グルグル目が回る。
 自分や周囲が動いているように感じる。メニエール病のようなめまい。
②身体動揺性のめまい:フワフワする。真直ぐに歩けない。
 時に脳に異常が発生していることがあるので、軽く考えない。
③意識喪失性のめまい:クラッとする(立ちくらみ)。
 目の前が真っ暗。起立性調節障害や脳貧血など。

①には沢瀉湯(たくしゃとう)、
②には真武湯(しんぶとう)、
③には苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)を用います。

沢瀉湯は沢瀉(たくしゃ)と白朮(びゃくじゅつ)の2味から成り、
薬味が少ないので、速効性があります。
この処方がない時は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、
五苓散(ごれいさん)など沢瀉・白朮を配合した処方も用いられます。

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2022年4月25日(月)
しぶり腹はつらい
 しぶり腹(テネスムス)はつらい症状です。
便意を催すのに排便がない。また、便意はあっても少量しか出ないが、頻繁に便意を催す。
このような状態がしぶり腹です。
漢方では、裏急後重(りきゅうこうじゅう)といって、下痢の一種です。
このタイプの下痢を痢疾(りしつ)といいます。

痢疾は赤痢やO-157などの感染症や食中毒で起きます。
痢疾では細菌が腸に残るので、薬などですぐに止めてはいけません。
しんどいですが、便と一緒に菌を出すようにしましょう。
黄連(おうれん)、黄柏(おうばく)などの抗菌力のある生薬を配した
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)や
大黄(だいおう)など下剤を配した三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)などを用います。

一方、細菌性でない胃腸虚弱で冷え性の方に多い慢性下痢は泄瀉(せっしゃ)といい、
人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、附子(ぶし)などを配した
参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)や人参湯(にんじんとう)、
真武湯(しんぶとう)などを用います。

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2022年4月18日(月)
過去喫煙者、コロナ重症化1.5倍
 過去に喫煙歴がある新型コロナウイルスの入院患者は、
症状が重症化するリスクが喫煙歴のない患者に比べて
1.5~1.9倍になると、国立国際医療研究センターが研究結果をまとめました。
感染リスクも、喫煙していた人は、喫煙歴のない人の3~5倍になるといいます。
喫煙歴はあるが現在は禁煙している「過去喫煙者」の男性が
人工呼吸器の使用や死に至るほど重症化するリスクは、
喫煙歴がない男性に比べ1.51倍
同女性では1.94倍となります。
一方、入院当時も喫煙習慣のあった「現在喫煙者」は
過去喫煙者ほど重症化リスクは高くありませんでした。
過去喫煙者のリスクが上がるのはタバコに関連する病気になった後に
禁煙した人が多いとみられ、その病気によって重症化リスクが高まった
可能性があるといわれています。

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2022年4月11日(月)
漢方薬でコロナ治療
 今年1月に『日経メディカル』という雑誌に
新型コロナウイルス陽性者37人に対する漢方薬治療の報告という記事が出ました。
その中で柴葛解肌湯(さいかつげきとう)が紹介されていました。
この処方は、風邪の引き始めというよりは、もっと進行して、
全身におよんだ激しい感冒の症状を示すものに使用されます。

小太郎漢方製薬から発売されていますが、
添付文書によると
「体力中等度以上で激しい感冒様症状を示すものの次の諸症:
発熱、悪寒、頭痛、四肢の痛み、全身倦怠、口渇、食欲不振、はきけ、鼻腔乾燥、不眠」
とあります。
葛根湯(かっこんとう)に小柴胡湯(しょうさいことう)、
桔梗石膏(ききょうせっこう)を合方すると似た処方になります。

他に紹介されていたのは大青竜湯(だいせいりゅうとう)です。
これは、麻黄湯(まおうとう)に越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を
合わせたような処方です。

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2022年4月4日(月)
日本の薬剤師数が過剰?
 日本の人口当たりの薬剤師数が先進国の中で群を抜いて最多であることが、
経済協力開発機構(OECD)の発表でわかりました。
2000年の段階で既に1位で、18年までの増加数もトップで、他国を大きく引き離しています。
かつて薬は病院内で受け取る形が一般的でしたが、
「医薬分業」が推進され、薬局数が増えたことも背景にあります。
医師や歯科医師などの医療従事者と同じ6年の修学年限にして、
薬科大学や薬学部を増設した結果、薬剤師の数が増えました。
一方、2009年には改正薬事法により登録販売者制度が誕生しました。
薬剤師でなくても登録販売者という専門資格を取得すれば
OTC※(一般用医薬品)を販売できる(第2類・第3類医薬品に限る)というものです。
国がセルフメディケーションを推進していることもあり、 登録販売者の需要も高まっています。

※OTC医薬品とは
 医師による処方箋がなくても購入できる医薬品のことです。
 登録販売者が扱える第2類・第3類医薬品は一般用医薬品の中で
 「9割以上」を占めていると言われています。
 漢方薬ではほとんどの商品が第2類医薬品に分類されています。

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2022年3月28日(月)
岐阜は製薬発祥の地?
 岐阜には全国でも珍しい市立の岐阜薬科大学があり、
お隣・滋賀(しが)の県境には薬草がたくさん自生している
伊吹山(いぶきやま)がそびえています。
『日本書紀』に美濃(みの)と薬のことが書かれており、
天武(てんむ)天皇は「百済(くだら)の僧を美濃に派遣し、
オケラを煎じさせた」とあります。

また、平安時代の『延喜式(えんぎしき)』に、美濃から62種、
飛騨(ひだ)から9種の生薬(全国でも多い方)が朝廷に納められていたとの記述が。
また、江戸時代、大垣藩(おおがきはん)の江馬蘭斎(えまらんさい)が
蒸気風呂を開発し、リウマチや神経痛、皮膚病などの治療に役立て、
飯沼慾斎(いいぬまよくさい)が『草木図説(そうもくずせつ)』をまとめました。

岐阜薬科大学の設立の趣旨にも「伊吹山の薬園は昔から有名で、
信長の時代には、南蛮の薬草もここに移植。
この得難き天来の伊吹薬園の存在のため誠に研究上にも利便を得る」とあったそうです。

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2022年3月22日(火)
5種類の病気
 入江祥史(いりえよしふみ)医師は漢方治療についてこうおっしゃっていました。
病気には5種類ある。
 ①放っておいても自然に治る病気(軽い風邪など)
 ②自然には治りにくいが、治療すれば完治する病気(傷の化膿(かのう)、脱水症など)
 ③放っておくと治らないが、治療によりコントロールが可能な病気
 ④治療法がない、非常に治りにくい病気
 ⑤症状があるが、いくら検査をしても異常が認められないもの(自律神経失調症など)
です。

病気前の状態に戻れるのは①と②でしょう。
一番多いのは③で、これには二通りあり、
命に関わるもの(高血圧、糖尿病など)と
命に関わらないもの(花粉症、婦人科の生理痛など)があります。
①~③は西洋医学の治療が確立されており、
④~⑤は西洋医学とは理論が違う東洋医学(漢方)でチャレンジできます。

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2022年3月15日(火)
漢方は何をめざすか
 あなたは病気になったら、西洋医学と東洋医学どちらの医学で治しますか。
日本は国民皆保険ですから、医院にかかればどちらでも治療できます。
一般的には西洋医学を選ぶ方が多いと思われますが、
今や漢方を使う医師も増えているので、
東洋医学を選択する患者さんもいらっしゃるでしょう。

では東洋医学(漢方)はどのような病気の治療に向いているのでしょうか。
西洋医学ではもう難しいと言われた病気、
あるいは、化学薬品が強過ぎて副作用が出るものなどにも。
さらに、西洋医学の検査ではどこにも異常がないのに、
本人の自覚症状だけがいつまでもとれないなどもあるのではないでしょうか。
しかし、病気は西洋医学にしろ、東洋医学にしろ、
医師や薬だけが治すものではありません。
病気は放っておいても自然に治るものもあるのです。
それが自然治癒力(免疫力)です。

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2022年3月7日(月)
頭痛必ずしも頭に病因非ず
 おもてなし日本人の3~4人に1人は頭痛持ちだそうです。
ストレスに弱く緊張しやすい人に多い緊張性頭痛は2200万人、
女性に多くこめかみ付近が痛い片頭痛が840万人ほどおられます。
気分の発散ができないコロナ禍の中ではもっと多くなっていることでしょう。

大切なものがたくさん詰まった頭だけに、原因がわかるまでは心配です。
頭痛には脳腫瘍や脳の血管障害(出血、梗塞)など
重篤な病気のイメージもありますが、
ほとんどの頭痛は原因不明で軽症のもの、機能性の異常です。

片頭痛のほとんどは、お腹が冷えて手足が冷たい女性に多いもので、
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)が最適です。
最も多い緊張性頭痛には、清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)、
お酒の飲み過ぎによる二日酔いの頭痛には五苓散(ごれいさん)が適しています。

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2022年2月28日(月)
ファクターXとは
 日本人の約6割にあると言われる白血球の型「HLA-A24」は、
風邪の原因となる季節性コロナウイルスに対する免疫細胞が、
新型コロナウイルスの感染細胞も攻撃するという実験結果を、
理化学研究所チームが発表しました。
細胞実験レベルですが、コロナウイルスへの交差免疫があり、
日本人で新型コロナの重症者が少ない要因
「ファクターX」の一つである可能性が高いとされています。

「A24」を持つ人の免疫細胞「キラーT細胞」は、
季節性コロナと新型コロナで、
共通する部分の分子に反応することがわかってきました。
過去に季節性コロナに感染した人が、新型コロナに感染すると、
体内で眠っていたキラーT細胞が速やかに増え、
感染細胞を排除している可能性があるようです。

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2022年2月21日(月)
便秘を劇的に改善
 我々が寝ている間に「大蠕動(だいぜんどう)」という
大きな収縮運動が腸で起きています。
大腸はとてもデリケートで、夜、副交感神経がうまく働かなければ、
この大蠕動が起きにくくなります。
大蠕動を直接妨げるのが大腸のガスです。
このガスを出すには、うつぶせで寝ます。
うつぶせになると直腸が上を向き、大腸のガスは空気より軽いので、
自然と直腸の方へ動き、排出されます。
①まず、夜寝る前に、10分うつぶせで寝る。
②ヘソのあたりに枕やクッションなどを敷く。
③10分経ったら、体を左右に転がすようにひねる動きを5往復行う。

また、食養生のポイントは、
①便秘中はうどんなど消化吸収の良い炭水化物を取る。
②便秘が解消してから再発予防に食物繊維
 (分解するときにガスをたくさん出す)を取るのがおすすめです。

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2022年2月14日(月)
神の果実・柿
 中国が原産で、落葉高木の柿には、いろいろな効能があります。
実はもちろんのこと、ヘタ、葉、さらに柿渋にいたるまで利用される薬用植物です。
実にはビタミンCやAが豊富で、栄養価に富んでいます。
食べ過ぎると体を冷やしますが、二日酔いには最適。
ヘタ(柿蒂)はシャックリ止めに良く、葉は血圧を下げてくれます。
さらに、柿渋は抗菌・抗ウイルス、止血、消臭などの効果もあり、
最近では新型コロナウイルスを不活化させるとの発表もあり、
期待されています。

「柿の実が赤くなれば、医者は青くなる」ということわざもあり、
ラテン語では、「神の果実」といわれるほど役立ち重宝されています。
昔、渋柿からつくる干し柿は旅の携行食として、お坊さんが利用しました。

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2022年2月7日(月)
溜飲を下げる
 溜飲(りゅういん、留飲とも書く)という言葉をご存じですか。
消化不良が原因で、胸やけがしたり、
酸性のおくび(曖気:あいき)が上がる症状です。
今でいう逆流性食道炎などの機能異常です。
この溜飲を使ったことわざに「溜飲を下げる」という言葉があります。
溜飲のために、みぞおちや胸に違和感がありスッキリしない。
これをスッキリさせることが転じて、不平不満を解消して胸を晴らすこと、
鬱憤(うっぷん)を晴らすことを意味します。

さて、この溜飲に効果がある漢方薬に茯苓飲(ぶくりょういん)があります。
頓服(とんぷく)的に、約1時間ごとに服用することもあります。
症状が治まれば服用を中止します。
このような患者は、逆流性食道炎があるにも関わらず、
その訴えをおくび(曖気)にも出さないようです。
(曖気はゲップ。秘して口に出さないこと)

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2022年1月31日(月)
脳が痛みをつくる
 痛みには、けがや炎症で組織が傷つき、痛みの信号が出る
侵害受容性疼痛(とうつう)と、手術や事故、脳卒中などで
神経が損傷して起きる神経障害性疼痛があります。

このどちらにも当てはまらないのが、痛覚変調性疼痛です。
これは国際疼痛学会が提唱したものです。
体の組織や神経に損傷がなくても生じる痛みで、
脳の神経回路の変化で起きます。
まさに、脳が痛みをつくるケースです。
様々の要因で脊髄(せきずい)から脳にかけた痛みを生み出す神経回路が変化し、
痛みが生じたり、痛みに過敏になったりします。

この痛みは、痛みへの恐怖、不安、怒りやストレスといった
社会心理的な要因が大きく関係しています。
線維筋痛(せんいきんつう)症、過敏性腸症候群、腰、膀胱(ぼうこう)、
骨盤(こつばん)の原因不明の慢性痛などに見られます。

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2022年1月24日(月)
味覚異常について
 鼻づまりや慢性鼻炎があって、嗅覚異常を感じる方におすすめしている漢方薬に
麗沢通気湯加辛夷(れいたくつうきとうかしんい)があります。
新型コロナウイルスに感染すると、においや味がわからなくなる
後遺症に悩む人がいらっしゃるということで注目されるようになった味覚異常。
じつは、食べ物の味は、味覚だけで感じているわけではありません。

味は舌で感じる味覚、においを感じる嗅覚、食べる前の視覚、
噛む時の音を聞く聴覚、歯ごたえやピリピリする食感(触覚)など、
五感からのいろいろな情報が合わさって感じています。
特に、重要なのは味覚と嗅覚です。
嗅覚は鼻の中の上の方のある部分に、においのもとの物質が付着してにおいを感じています。
味がわからなくなるとか味が変わるなどの症状は、
もしかすると嗅覚が原因かも知れません。

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2022年1月17日(月)
働き盛りのコロナ死
 日本のコロナ感染者は全体でおおよそ6対4と男性が多いそうです。
専門家の見方では、日本の人口の男女比は女性の方が若干多く、
そのことを考えると男性の方が女性よりも感染しているが、
これは男性の方が新型コロナに感染しやすいというよりも、
日本の場合、男性の就業者の割合が多く、
人と接する機会が多いことが関係しているかもしれないということです。

しかし、東京都内で亡くなった50代以下の新型コロナウイルス感染者は
8対2となり、あきらかに男性が多くなっています。
新型コロナで重症化リスクとされる基礎疾患には高血圧、慢性肺疾患、
心血管疾患などが知られていますが、専門家によると、
女性よりも男性の方がこれらの基礎疾患を持つ割合が高いそうです。
また、肥満も男性の方が女性よりも割合が高く、
これらの基礎疾患の誘引となるような喫煙や飲酒も
男性の方が嗜む人が多いことも遠因として関連しているということのようです。

Withコロナと言われる時代、自分の身体との付き合い方も考えていく必要がありそうです。
当店では、肥満改善の漢方薬なども取り揃えています。ぜひご相談ください。

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2022年1月13日(木)
藪(やぶ、または野巫)医者は未熟で下手な医者
 やぶ医者は名医のブランドでした(前回をを参照ください)。
しかし、このブランドを悪用する者が現れ、大した腕もないのに、
自分は養父医者の弟子だと口先だけの医者が続出し、
養父医者の名声は地に落ち、いつしか「藪」、「野巫(やぶ)」
(田舎に住んで、占い、呪術、まじないや悪霊祓いをする者)の字があてられ、
下手な医者を意味するようになったそうです。

下手な医者にもランクがあります。
たけのこ医者:たけのこが大きくなると竹になります。竹が沢山増えると竹藪に。
       たけのこはまだ藪に至らないことから、藪にもならない未熟な医者。
土手医者(どていしゃ):藪以下の全く見通しの利かない医者。
雀医者(すずめいしゃ):これから藪に向って飛んでいこうとする医者、などです。

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2022年1月5日(水)
やぶ医者は名医
 一般に、やぶ医者といえば適切な診療や治療能力を持たない医師をさす俗称・蔑称で、
下手な医者のことです。
しかし、実は名医と呼ばれた養父(やぶ)の医者という説があります。

いつ頃のことでしょうか、ある名医が但馬(現在の兵庫県)の養父(やぶ)という所に
ひっそりと隠れるように住んでいて、土地の人に治療を行っていました。
死にそうな病人を治すほどの治療を行うことも少なくなかったそうです。
その評判は広く各地に伝わり、多くの医者の卵が養父の名医の弟子となりました。
養父の名医の弟子といえば、病人もその家人も大いに信頼し、
薬の力も効果が大きかったとのことです。
昔は名医のことを尊敬してやぶ医者と呼んでいたそうです。

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2021年12月27日(月)
傷寒雑病論について
 傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)は、
漢方医学における最古の治療書(治療マニュアル)です。
傷寒雑病論は後に急性疾患に関する記述をまとめた『傷寒論(しょうかんろん)』と
慢性疾患(雑病)に関する記述をまとめた『金匱要略(きんきようりゃく)』に
分かれたとされています。

この書物の著者は張仲景(ちょうちゅうけい)という
長沙(ちょうさ)という街の太守(たいしゅ:今でいうと知事や市長のような役職)でした。
張仲景がこの書物を著したきっかけは、10年足らずの間に、
200人余りいた彼の一族の3分の2が死亡し、
しかもその7割が「傷寒」といわれる急性熱性疾患(インフルエンザのような感染症)でした。
多くの身内を亡くした辛い思いから一念発起してつくったものです。

前回でご紹介した神農本草経(しんのうほんぞうきょう)では
単味の生薬を、傷寒雑病論では生薬の集まりである処方を解説しています。

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2021年12月20日(月)
神農本草経について
 神農本草経(しんのうほんぞうきょう)は漢方医学最古の薬物書です。
神農は人々に医療や農耕を教えた伝説上の王で、医薬の神様です。
この書物には、365種の生薬について、
その効能・産地・性質(四気五味:しきごみ)などについて記載されています。
この書物の特徴は、生薬を3つのグループに分けている点です。

上薬(じょうやく):無毒で長期服用してもよい、不老長寿につながる薬。
中薬(ちゅうやく):使い方次第で毒にも薬にもなるので、気を付けて用いる薬。
下薬(げやく)  :有毒なものが多いので、長期間使ってはいけない、
          病気を治すためにやむを得ず用いる薬。

これは良い薬、悪い薬といった良し悪しを意味するものではなく、
薬の性質による分類です。

漢方には「未病(みびょう)を治す」という考え方があります。
すなわち、「体の小さな変調に気を配り、
それを調えることで病気にならないようにする」という考え方です。
病気になってから治すより、ならないように予防することが
上位とされていたのでしょう。

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2021年12月13日(月)
黄帝内経について
 前回でもご紹介した『黄帝内経(こうていだいけい)』とは
漢方における最古の医学書ともいわれ、漢方の医学理論および
鍼灸療法を確立した書物です。
主に医学理論について述べた『素問(そもん)』と、
鍼灸について述べた『霊枢(れいすう)』に分かれています。
人体の生理から病理、診断、治療、養生、予防などについて網羅されています。
鍼灸師さんが専門に勉強する書物にもなっています。
ただし、薬物療法(漢方薬)に関する記述はほとんどありません。
書名にある「黄帝」は、三皇(黄帝(女媧(じょか)とする説もある)、
神農(しんのう)、伏羲(ふき。ふくぎ、ふっきとも))と呼ばれる
中国の伝説上の王の一人です。
黄帝内経の内容は黄帝と岐伯(ぎはく:黄帝の家臣である名医)の
問答形式になっています。
ちなみに、健康ドリンクにある「〇〇黄帝液」の名前は、この黄帝に由来しています。

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2021年12月6日(月)
漢方の三大古典
 前漢~後漢時代にかけて、中国では、漢方医学の基礎とされている三大古典の
『黄帝内経(こうていだいけい)』
『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』
『傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)』が成立しました。

それぞれ漢方の医学理論(陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)など)、
薬物学(各生薬の働き)、治療学(処方の使い方)の書物です。
2000年ほど前に書かれたもので、今もこの3つを基にして
漢方を勉強する専門家が大勢いらっしゃいます。

漢の時代には文化の華が開き、医学の基礎が確立しました。
現代主流になった西洋医学は、江戸時代に西洋(オランダ)から
持ち込まれたもので蘭方と称するのに対し、
中国から来た伝統医学を日本では漢方(本場中国では中医学)と呼びました。

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2021年11月29日(月)
加味平胃散でおなかスッキリ
 食べ物が美味しくなる食欲の秋です。
コロナ禍、外食することが難しくなりました。
そのストレスもあってか、家庭でついつい食べ過ぎてしまうという話も聞きます。

漢方には、消化吸収を高め、胃腸の働きをよくする処方がたくさんありますが、
その代表的なものは平胃散(へいいさん)です。
食べ物や飲み物で一杯になった胃袋を平らかにするという方意から
平胃散と名付けられたいわゆる消化促進剤です。

この平胃散に焦三仙(しょうさんせん)といわれる
発酵性生薬(神菊:しんきく、麦芽:ばくが、山楂子:さんざし)を混ぜると、
さらに効果を発揮します。
神麹と麦芽で穀物や芋類に多い炭水化物の、
山楂子で肉類や脂肪分の多い食べ物の消化を助けます。
平胃散に焦三仙を加えたものがスーパー平胃散である
加味平胃散(かみへいいさん)なのです。

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2021年11月22日(月)
似たもの夫婦で互いに励ます
 11月22日は「いい夫婦の日」だそうです。
夫婦というのは長く連れ添っていると趣味や性格がだんだん似てくるものですが、
イギリスにおける夫婦に関する興味深い報告に
夫婦というものは、かかる病気まで似ている」というものがあるそうです。
たとえば、胃潰瘍では約2倍、高脂血症は約1.4倍の割合で、
片方だけよりも夫婦2人が揃って患う可能性が高いそうです。
長く一緒に暮らすということは、寝食を共にすることで、
自ずと体質が似てくるのでしょう。

女性の50代に多い更年期障害が最近男性にも増えているそうです。
更年期障害は主にホルモンバランスの乱れによるものです。
不幸にも夫婦で発症すれば、共に散歩や体操などして、
お互いを気遣いながら生きていくことが早い解消につながることでしょう。
更年期障害を改善する漢方薬も数多くありますので、
ぜひご一緒に当店へご来店ください。

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2021年11月15日(月)
パンデミックと漢方
 毎日の感染者数が落ち着いてきたとはいえ、
いまだ警戒が必要な新型コロナウイルスですが、
同じようにパンデミック(感染症の世界的大流行)とされているのが
1918-1920年にかけて世界中で猛威を振るったスペイン風邪です。
スペイン風邪とよく言われますが、
実際にはウイルスが原因のインフルエンザ(流行性感冒)です。
このスペイン風邪が日本で流行した時、
柴葛解肌湯(さいかつげきとう)という漢方処方が
多くの人の命を救ったことはご存知でしょうか。
この柴葛解肌湯は浅田宗伯(あさだそうはく:浅田飴の基となる
処方を考案した漢方の大家)が考案したもので、
流行性感冒などの急性疾患(咳や痰などの呼吸器症状を呈す初期から
急激に悪化するような場合)に使用する漢方処方です。

人の歴史はウイルスとの戦いでもあると言われますが、
いつの時代も最後は人の叡智が人々の命を救うということでしょうか。
このお薬は当店でも取り扱っております。
これからの季節の備えとして、ご用意いただいておくと安心です。

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2021年11月8日(月)
ブレークスルー感染とは
 新型コロナワクチンを2回接種して、抗体ができたと安心していたら、
しばらくしてまた感染したという話を時々聞きます。
これがいわゆるブレークスルー感染です。
一度かかると二度とかからない麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)などと違って、
変異した強い株(δ)で再感染するのがインフルエンザや新型コロナなどです。

麻疹などはウイルスが鼻やノドから侵入して、血液の流れに乗って全身に広がり
発症するまでに10日~2週間の潜伏期があるのに対し、
新型コロナなどは鼻やノドの粘膜で増えて数日で発症します。
新型コロナワクチンを2回接種したからといって油断せず、
引き続き感染予防対策をしっかり行うようにしましょう。

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2021年11月1日(月)
七味唐辛子は薬効ふりかけ
 唐辛子(とうがらし)の激烈な辛さをマイルドにするために
日本で考案されたのが七味唐辛子です。
唐辛子はもともと中南米のインディオが薬用として使用していたものを、
あのコロンブスが持ち帰り世界に広めたと言われています。

七味というのは唐辛子、ごま、けしの実、青のり、麻の実、
陳皮(ちんぴ)、山椒(さんしょう)、シソ、生姜(しょうが)などの中から
七種類を選んでブレンドしたことからこの名前があります。
唐辛子の辛味成分と一緒に薬効成分も閉じ込めた価値ある商品です。
関東では唐辛子の割合が多く「七色とうがらし」と呼ばれ、
関西では山椒など香りの強いものが好まれ、
「七味とうがらし」と呼ばれ親しまれています。
また他にも、濃い口(関東)と薄口(関西)など、
つゆの濃さでも微妙な違いがあります。

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2021年10月25日(月)
消毒と滅菌
 コロナ禍の中、日常生活でアルコール消毒をする機会が増えました。
菌には細胞膜という殻が、ウイルスには体の表面を覆う油の膜(エンベロープ)があり、
アルコールはそれを壊すことで効果を発揮します。
ですが破傷風(はしょうふう)菌やボツリヌス菌のように
アルコールでは壊せない硬い殻を持つ菌や膜を持たないウイルスもあり、
すべての菌やウイルスを殺せるわけではありません。
新型コロナウイルスにはこの膜があるのでアルコール消毒は効果的ですが、
食中毒を起こすノロウイルスは膜をもたないので効きが弱いのです。

ちなみに、すべて殺してしまうのは、滅菌といいます。

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2021年10月18日(月)
便(べん)は体からの便(たよ)り
 日本人の便の大きさは先進国の中でも一番。
健康な大人で1日約150~200gと、大きめのバナナ1本分のサイズにあたり、
欧米人の約2倍もあります。
これは食生活と大きく関係しています。
日本人は肉食中心の欧米人とは違い、米などの穀物やイモ類などの
繊維質に富むものをよく食べるからで、繊維質は消化されにくく、
ほとんどが便として排出されるためです。

便は毎日の健康状態を知らせてくれます。
健康な良い便は便の切れもよく、お尻を拭かなくてもいいぐらいで、色は黄褐色。
それが黒褐色だと、肉・卵などの動物性タンパク質を摂り過ぎている傾向。
暗黒色だと、胃・十二指腸や大腸から出血しているケースも考えられます。
さらに、灰色っぽい時は、胆石や膵臓の病気の疑いがあるので、注意が必要です。
体からの便りを大事にしたいものです。

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2021年10月11日(月)
カレーは薬膳料理
 食欲の秋。好き嫌いの多い子供でも、カレーライスは好きな料理のひとつです。
カレーはインド料理ですが、今や日本人が最も好きな食べ物といっても過言ではありません。
本場インドでは平均10数種類のスパイスを使って、それぞれ家庭の味を出しています。
日本で市販されているカレー粉では30種類ものスパイスがブレンドされているそうです。
まるで漢方薬のようです。

スパイス=香辛料。
香辛料の多くは辛温解表薬(しんおんげひょうやく:体を温めて発汗させる)として
重宝されています。
世界の3大スパイスと言われるペッパー(胡椒:こしょう)、シナモン(桂皮:けいひ)、
クローブ(丁子:ちょうじ)のほか、ターメリック(鬱金:うこん)、
チリ(唐辛子:とうがらし)、スターアニス(八角:はっかく)、
フェンネル(茴香:ういきょう)、コリアンダー(香菜:こうさい)など
漢方でも馴染みのある生薬が使われています。

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2021年10月4日(月)
肥満になると薄毛に?
 毛は皮膚の中にある毛包幹細胞が変化することでつくられます。
しかし、加齢によって、毛包幹細胞は毛ではなく表皮に変化することが多くなり、
薄毛になることがわかっています。

脂肪の多い食事をとり過ぎて肥満になると、薄毛になる可能性があるというマウスによる
研究成果をこのほど東京医科歯科大などのチームが発表しました。
脂肪の多いえさを6ヵ月与えたマウスと、
普通のえさを同期間与えたマウスの皮膚の組織を比べると、
脂肪の多いえさのマウスでは毛包幹細胞が表皮などに変化し、
毛をつくる場所は萎縮していました。
詳しく解析すると、毛包幹細胞に脂質がたまることで、
この細胞が毛に変化するように促す伝達経路が活性化しなくなることがわかりました。

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2021年9月27日(月)
冷や汗はなぜ出る?
 汗には大きく分けて2つあります。
暑い時にかく汗と、緊張したり不安になったりした時にかく汗です。

前者は温熱性発汗といい、上昇した体温を下げるためにかく汗です。
全身に汗をかいて体を冷やすのは、人間と馬くらいなものです。

後者は精神性(緊張性)発汗といい、驚きや緊張の刺激が脳に伝わった結果起こります。
ドキドキ、ハラハラした時に「手に汗をにぎる」感じです。
緊張やストレスが脳の視床下部に伝わり、汗をかくものです。
体は暑くはない(逆に冷たく感じる)のに汗をかくので、冷や汗ともいいます。
ちなみに手のひらや足のうらは緊張した時に汗をかき、気温が暑い時にはかきません。

冷や汗には一貫堂の荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)が適しています。

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2021年9月22日(水)
がんの10年生存率
 日本人の約半数が一生に一度はがんを患うとされています。
2008年にがんと診断された24万人のその後を追いかけた調査がまとめられました。
がんは種類や進行度合いによって生存率がかなり違うそうです。
例えば、前立腺がんや乳がんは高く、小細胞肺がんや膵臓がんでは低い数字だそうです。
また、がんは進行する病気でもあり、早期発見が大切です。
例えば、胃がんでは、ステージ1で見つければ、生存率9割と高く、
ステージ4だと6.7%と一挙に低くなります。

がんは今や不治の病ではなくなりました。
ここ数年で、がん細胞を狙いうちする「分子標的薬」や、
体内で異物を取り除く免疫の力を利用した「免疫チェックポイント阻害剤」など、
治療の技術はどんどん進んでいます。

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2021年9月13日(月)
再び盲腸について
 以前は盲腸(虫垂炎)を起こしていない虫垂でも、
開腹手術の機会があれば、切除してしまおうというケースがありました。
虫垂は進化の過程で機能の失われたムダな臓器と思われていたのです。
虫垂炎を手術して取った人は、手術しない人に比べて、
その後1年半~3年半の間、2.1倍ほど大腸がんになりやすいとの報告があります
(そのリスクが上がったのは、手術後3年半までで、その後はこの差はなくなる)。

最近の研究では、虫垂には、たくさんの免疫細胞が住んでおり、
「腸内フローラ」がよい状態に保たれるように働いていることが
わかってきているそうです。
この環境が悪くなると、潰瘍性大腸炎やクローン病の炎症性腸疾患(IBD)が
起きやすくなります。
それには虫垂炎の漢方である腸癰湯(ちょうようとう)が役立っているようです。

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2021年9月6日(月)
冷房病に五積散
 夏、少し動いただけでも汗をよくかき疲れやすい方には、
どちらかというと水太りタイプの女性が多いようです。
このタイプの方はからだの中に水をためやすいため、なかなかからだが温まりません。
暑い夏だからといって、冷房がきいた部屋に長時間いたり、
冷たい飲食物ばかり摂っていたりすると、
中からも外からもからだを冷やすことになり、冷房病などで体調を崩します。

こんな時には五積散(ごしゃくさん)がお勧めです。

五積散は体を芯から温めてくれて冷房病を吹き飛ばしてくれます。
同じ方意に防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)がありますが、
上記のようなタイプの場合は冷えをあおってしまいます。
どちらも表裏双解剤(ひょうりそうかいざい:一度に表証も裏証も治す処方)で、
どちらも解表剤ですが、五積散は裏を補って温める虚証の漢方で、
逆に防風通聖散は裏を攻撃し余分なものを排泄する実証の漢方です。

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2021年8月30日(月)
味覚異常にも
 乳児の舌には約1万個もあるといわれる味蕾(みらい)。
歳と共に減少して、70歳を過ぎると成人の半数以下になります。
このように「味覚の衰え」は主に老化によるものとされていましたが、
近頃では若者の間でも急増しています。
原因のひとつは、度を超えた激辛食品です。
刺激の強すぎる味は舌を麻痺させ、味覚障害を引き起こす危険性がありますので、
ほどほどに摂取することを心がけましょう。

また、専門家の中には、亜鉛不足を指摘する方もいらっしゃいます。
亜鉛を多く含む食品として知られている魚介類の牡蛎、ホタテ、
牛肉の肩ロースやレバー、卵、納豆、カーシュナッツ、
アーモンドなどのナッツ類。
これらの食品をしっかり摂って、ケアするのも良いでしょう。

漢方では、前回取り上げた麗沢通気湯加辛夷(れいたくつうきとうかしんい)や
口腔内をきれいにする甘露飲(かんろいん)などがいいようです。

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2021年8月23日(月)
治りにくい嗅覚障害
 においの感覚になんらかの異常が起こる現象を嗅覚障害といいます。
嗅覚は鼻の重要な働きであり、呼吸と並ぶ重要な機能です。
嗅覚障害が起きる最大の原因は、鼻の病気である副鼻腔炎(ちくのう症)です。
副鼻腔の炎症を改善することがその治療に直結します。

東洋医学では「肺気(はいき)は鼻に通じる」といいます。
鼻の病気があることは、肺の機能の衰えが考えられます。
「肺は魄(はく)を主る」といわれるように、肺の衰えは魄に影響を与えます。
魄は感覚器である五感(嗅覚、味覚、視覚、聴覚、触覚)を維持しています。
したがって、肺の異常は、嗅覚障害や味覚障害などの五感の異常としても現われます

コロナに感染された方の半数近くに嗅覚異常などの症状があると言う
ニュースもありましたが、東洋医学の考え方からすると、うなずけます。

麗沢通気湯加辛夷(れいたくつうきとうかしんい)は、
嗅覚異常の効能がある漢方薬として知られており、
コロナ感染症の後遺症(味や臭いがわからない)にも期待できます。

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2021年8月18日(水)
ワクチンに関するデマ
 コロナワクチンの接種が進んでいますが、世間ではいろいろなデマが流布し、
接種に躊躇されている方がおられます。
海外発のものが多いようですが、例えば次のようなデマです。

①ワクチン接種された実験用ネズミが2年で全て死んだ。
②ワクチン接種により不妊が起きる。
③卵巣にコロナワクチンの成分が大量に蓄積する。
④ワクチン接種で遺伝子が組み換えられる。
⑤治験が終わっていないので安全性が確立されていない。
⑥長期的な安全性がわからない。
⑦ADE(抗体依存性増強現象)が起きる。
などです。

⑥はデマというよりも、新薬であればありうることとも言えるでしょう。
⑦のADEとは、過去に獲得した抗体がウイルスの感染を増強してしまうことです。

誤った情報に惑わされず、情報を正しく収集して判断をしましょう。
厚生労働省のホームページに新型コロナワクチンに関するQ&Aをまとめた
サイトがありますので、参考にしてみてください。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/all/

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2021年8月11日(水)
熱中症と夏バテ
 年々暑さが厳しくなる日本の夏。
この時期になると熱中症や夏バテという言葉がニュースから流れてきますが、
どのような違いがあるのでしょうか。

熱中症は暑熱(しょねつ:夏の暑さ)に当たり、
ノドの渇きがひどく、めまいがして、のぼせ、
ほてり(陰虚(いんきょ)の症状)などの症状がでます。
暑気あたり、中暑(ちゅうしょ)、日射病などともいわれます。

夏バテは疲労倦怠、食欲不振、下痢など(脾虚(ひきょ)の症状)に、
体が重い、小便不利(しょうべんふり:尿の量や回数が少ないこと)など
(湿邪(しつじゃ)の症状)が加わります。
注夏病(ちゅうかびょう)、夏ヤセなどともいわれます。

熱中症の方が夏バテより重症です。

最近では、環境省が「熱中症警戒アラート」を発し、気温や湿度、
日差しの強さなどによる「暑さ指数(WBGT)」に基づいた
活動指針を出して予防を促してしています。
熱中症には、漢方の「飲む点滴」といわれる生脈散(しょうみゃくさん)を
ぜひお試しください。
また、水分補給には水よりも電解質が多い麦茶が適します。

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2021年8月2日(月)
3つの漢方
 熱中症に使う漢方薬をご存知ですか。代表的なものは3つあります。
生脈散(しょうみゃくさん)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
清暑益気湯(せいしょえっきとう)です。

生脈散は人参、麦門冬(ばくもんどう)、五味子(ごみし)の三味からなります。
人参で気力を益し、麦門冬で清熱し、五味子で収斂(しゅうれん)して汗を止めます。
人参は気を補い、汗で消耗した心機能を強める補気薬(ほきやく)です。
麦門冬は、体液を補い、血液粘度を下げ、五味子は汗とエネルギーの漏れを防ぎます。
麦門冬と五味子の両薬は、補陰薬(ほいんやく)として、体液の消耗を補います。

次に補中益気湯は夏に胃腸機能が衰えて、疲れだるさがとれない時に用いる
補気剤(ほきざい)です。
ここへ生脈散を加えると清暑益気湯の方意になります。

動悸、息切れ、脈の結滞なら生脈散、
体のだるさ、ほてり、のぼせなら清暑益気湯、
そして熱症状が伴わない、夏バテだけならば補中益気湯が向いています。

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2021年7月26日(月)
命の水
 人の体を構成する成分の過半数は水分です。成人男性で約60%です。
オギャーと生まれてきた新生児で約80%あり、
還暦を過ぎた高齢者では約50~55%と少なくなってしまいます。
水々しさは若さの証とも言えるでしょう。
歳を取ると水分が減り、体がカサカサに乾燥し、口や目が渇(乾)きます。
このような経験はありませんか。
このようなことが度々続くと老化が始まっていると考えられます。
また、暑熱(しょねつ:夏の暑さ ※熱邪:ねつじゃ)のために汗をかき、
体が乾いて熱中症が多発します。
そんな時一番犠牲になりやすいのが高齢者です。
もともと水分が少ないため、脱水症を起こしていても気づきにくく、
その手当てが間に合わず、亡くなってしまうケースもあります。
まさに命の水です。

日本気象協会では今年の夏も厳しい暑さが予想されると発表しています。
上手な水分補給で、熱中症に気をつけてお過ごしください。

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2021年7月19日(月)
麗沢通気湯加辛夷
 今年度に入って、小太郎漢方は鼻炎の新処方を発売しました。
麗沢通気湯加辛夷(れいたくつうきとうかしんい)という変わった名前です。
「麗沢」の「麗」は並ぶ、連なるの意。
「麗沢」とは、2本(一対)の沢が並んで流れているさまで、
友人同士が並んで互いに助け合い、励まし合って勉学に努めることと論じています。
これはちょうど、顔面部で左右に並んでいる鼻腔が、
協力して呼吸器と嗅覚器の機能を担っていることと似ています。
通気は、閉塞(へいそく)・凝滞(ぎょうたい)している気滞(きたい)を
強力に開通させる(鼻を通す)ことです。

鼻炎は花粉症や風邪のシーズンである春や冬と相場が決まっていますが、
本剤はどのシーズンのどんなタイプの鼻炎にも用いられ、
特に嗅覚障害を得意としています。

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2021年7月12日(月)
治病求本
 病を治するには必ず本を求むとする治病求本(ちびょうきゅうほん)という
考え方が東洋医学にはあります。
病には、必ず症状(標:ひょう)と
その症状をつくりだす本質(本:ほん。病の原因となるもの)があり、
症状だけ取れても、本質(または体質)まで改善しないと、
病は治ったとはいえないとする考え方
です。

たとえば、ウイルスによって起きるかぜ症候群という病を考えてみましょう。
かぜの症状としてつくりだされた、発熱、鼻炎、せき、たんなどの症状は、
解熱薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳去痰薬などでよくなります(対症療法)が、
これで本当に治ったのかと考えるのです。
再発しなければ治ったのでしょうが、再発すれば本質的な原因であるウイルスが
まだ残っていたことになります。
この場合、かぜ症候群のウイルスに抵抗できない体の状態が本質ですから、
体質を見直して改善していくことが大切なのです。

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2021年7月5日(月)
盲腸の漢方
 本来の盲腸(もうちょう)は、小腸と大腸のつなぎ目にあたる腸のこと。
おなかが痛いときによく使われている“盲腸”ということば。
実は盲腸ではなく、盲腸からぶら下がっている虫垂(ちゅうすい)が
炎症を起こした急性虫垂炎のことを指します。
虫垂に詰まったものが炎症を起こして化膿するのです。
痛みがヘソから右下腹部に移動し、発熱、食欲不振。
腰骨からヘソに向って3分の1のところ(マックバーネーの圧痛点)を押すと特に痛みます。
30年前は手術がほとんどでしたが、現在は、炎症が軽ければ抗生物質などで散らします。
手術でも、腹腔鏡手術であれば傷が小さくて目立ちません。

手術がなかった頃、漢方治療が主流だった時代では、
実証に大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)、
虚証に腸癰湯(ちょうようとう)が使われました。
腸癰とは腸のできもの、すなわち虫垂炎や腸のポリープを指します。
最近では虫垂が腸内の健康を保つのに役立つ働きをしているのではないか、
とも考えられるようになっています。

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2021年6月28日(月)
余命宣告しないほうがいい
 進行がんの患者から主治医に「あと、どれくらい生きられますか」と
尋ねてきたとしても、伝えないほうがいいそうです。
かつて患者の強い希望で伝えた折、悟りきったような聖職者、
度量のある社長や政治家などであっても、
具体的な余命期間を告げられると、がっくり肩を落とされ、
ぼろぼろと涙を流されるそうです。

患者としては限られた余命を、悔いを残さず暮らしていくために、
尋ねたい一心なのはわかりますが、
聞いた瞬間、死刑宣告をされたようになり、落胆するのだそうです。
しかし、そうかと思えば、余命3カ月といわれた末期がんの患者が、
治療を止め、心穏やかに暮らしていたら、3年間も永らえたという結果もあるそうです。
余命宣告なんて本当に当てにならないものです。

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2021年6月21日(月)
アナフィラキシーについて
 複数の臓器で同時に重いアレルギー反応が起きるのがアナフィラキシーです。
アレルギーの多くは、原因物質が体に取り込まれた時に、皮膚に蕁麻疹が出たり、
鼻の粘膜で鼻炎が起きたりするなど、ある一カ所で症状が出て、
通常は大事に至りません。

一方、アナフィラキシーは、皮膚や粘膜だけの症状にとどまらない。
腹痛や下痢、呼吸困難や血圧低下など、
複数の臓器でアレルギー反応が同時に起きて、
臓器に充分酸素が供給されない状態になるため、命に関わることもあります。
原因物質は様々ですが、ワクチンもその一つ。
連日ニュースで報道されている新型コロナワクチンの接種後に起きる場合は、
そのほとんどが30分以内に発症することが多いと考えられ、
アドレナリンなどの薬物を準備して、応急処置ができるよう臨んでいるそうです。

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2021年6月14日(月)
酒は「百薬の長」か
 飲酒には寛容な日本社会。
「酒は百薬の長」で、適量のアルコールはむしろ体にいいという考えがあります。
しかし、アルコール摂取と寿命の関係については
「百害あって一利なし」というデータがあります。
40歳時点でのアルコール摂取量と平均余命の関係は、
1週間の純アルコール摂取量が100gまでのグループを標準とした時、
週100~200gをとるA群は6ヵ月の余命短縮、
週200~350gをとるB群は1~2年の余命短縮、
週350g以上をとるC群は4~5年の余命短縮となるそうです。

純アルコール重量(g)
    =お酒の量(ml)×度数(%/100)×0.8(エタノールの比重)です。
ちなみにビール1缶(5%で350ml)=14g、
酎ハイ1缶(8%・500ml)=32g、
日本酒1合(15%・180ml)=22gです。

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2021年6月7日(月)
患者本人と話す
 漢方相談をしていると、馴染のお客様からご自身のことではなく、
お子さまの病気について、何かいい漢方薬がないかと相談されます。
そんな時、決まって親御さんから聞かされる情報は、病名だけの場合が多く、
体質は親と一緒のことが多いから、簡単にわかるでしょうというもの。
さらに聞いても、外見的特徴くらい(体重や身長など)です。

その方の証(体質・症状)を知るためには、やはりご本人とお目にかかるか、
最低限電話で話さなければなりません。
特に漢方では、この問診が大切なのです。
もっと大事なのは、ご本人が自分の病気をどのようにとらえているかです。
ご本人に治す意志がなければ、残念ですが周りがいくら一生懸命になっても
成果が出ないものです。

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2021年5月31日(月)
生体恒常性とは
 漢方相談をしているとお客様から次のような質問をされることがあります。
先生に処方された利尿の漢方薬を飲んでいると、おっしっこが出過ぎて、
脱水症になりませんか。
また、逆に肥満の方がダイエットの漢方薬を飲み、体重の減り方が鈍いため、
倍量飲めば、もっと早くやせませんかなどです。
人には生体恒常性(ホメオスタシス)というものがあり、
ある一定の状態(個々の標準値)までくれば、変化せず一定の状態を維持します。
したがって、脱水症にもなりませんし、急激にやせることもありません。

漢方でいう健康体というのは、余分なものがあれば取り除き、
不足しているものがあれば補う、すなわち中庸を目指すことです。
筋肉虚弱な方がすぐに筋骨隆々になったり、
肥満体型の方がいきなりモデルのようなスリムな体になったりするわけではないのです。

何よりも大切なのは、あなたの悩みに向き合い、証(体質)に合った
漢方薬を見つけてくれるよいお店、よい先生に出会うこと
です。

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2021年5月24日(月)
水(腎)タイプの養生
 驚きや恐れは腎を傷めるもと。
不安や恐れを感じることが増えているコロナ禍では、とくに気をつけたい臓器です。
腎が衰えている方は、同時に足腰も衰えています。
現代人は歩く機会が減り、足腰の老化が早まっていると言われますが、
さらに外出自粛や在宅ワークなどで、いままで以上に足腰に不安を感じる方は
多いのではないでしょうか。
家で簡単にできる運動などで下半身の筋肉を鍛え、
寒さに強い体づくりを心掛けるなど工夫しましょう。
そして、体の冷えは腎の大敵です。

栄養面では、腎の弱いタイプは、黒くてヌルヌルした食べ物がよいと言われています。
黒豆、黒ゴマ、ひじき、ごぼう、山芋、わかめ、昆布、ナマコ、
イカ、タコ、牡蛎などを積極的に食事に取り入れるようにしましょう。
これらの食べ物は老化を予防し、長寿の薬にもなります。
また、梅干、塩昆布、塩豆などの鹹(塩辛い)味の食べ物は、
腎によい五味のひとつで、物をやわらげる効果があり、
リンパの腫れや便秘などによいと言われています。
しかし、取り過ぎにはくれぐれも注意しましょう。

水タイプの治療としては、六味丸、八味地黄丸、牛車腎気丸などがよいでしょう。

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2021年5月17日(月)
金(肺)タイプの養生
 悲しみや憂いは肺を傷めるもと。
悲しんでばかりいると肺はいつまでも丈夫になりません。
気分を変えるためにも、ゆったりと深呼吸してみましょう。
とくに朝の新鮮な空気を胸一杯とり入れることは、肺の強化につながります。
肺の強化と言えば、肺と関係の深い皮膚を刺激することは、
血行がよくなり肺が鍛えられます。
最近は知らない方も多いでしょうが、乾布摩擦を思い浮かべると
イメージしやすいのではないでしょうか。
そして、乾燥の強い秋や冬はノドや肌が乾かないよう注意しましょう。

栄養面では、肺の弱いタイプは、唐辛子やネギ、にんにくなどの
辛味(五味のひとつ)がよいといわれています。
これら香辛料などは、発汗を促し、皮膚の抵抗力を上げて、
風邪などの感染症を予防する働きがあります。
また、大根、キャベツ、じゃがいも、玉ねぎ、白ゴマなど
白っぽい食べ物には、肺を潤す効果があります。
毎日ひとつでも食事に取り入れる工夫をしてみましょう。

金タイプの治療としては、辛夷清肺湯、小青竜湯、麦門冬湯などがよいでしょう。

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2021年5月10日(月)
土(脾)タイプの養生
 思い悩むことは、脾(胃腸)の活動を抑えてしまいます。
心配事を抱えたままの食事は、消化不良のもとです。
脾は感情の変化に敏感に反応するとされていますので、
考え込まず、少し開き直って、運動や読書、おしゃべりなどで
気分転換をはかりましょう。

栄養面では、脾が弱い方は、適度に甘味(五味)があって、
黄色い食べ物がよいと言われています。
かぼちゃ、さつまいも、とうろもこし、大豆、柿などを
日々の食事で摂れるように工夫してみましょう。
また、脾の働きを高めるためには、胃腸に負担をかけぬよう、
よく噛んで食べることも大切です。
その他、砂糖をはじめ黒糖やはちみつなどの甘味は体を滋養するだけでなく、
緊張を緩和して、痛みを取り除く働きがあると言われていますので、
料理やデザートに上手く取り入れてみてください。

土タイプの治療としては、六君子湯、人参湯、帰脾湯などが合いそうです。

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2021年4月26日(月)
火(心)タイプの養生
 大声でよく笑う(喜ぶ)人は、心(しん)が損なわれると言われています。
笑ったり、喜んだりすることは良いことのように思いますが、
何事も行き過ぎると良くないのですね。

散歩やストレッチなどの軽い運動は心を丈夫にする手助けになります。
また、入浴はぬるめのお湯で、下半身を中心に温めましょう。
熱いお湯は逆に心に負担をかけますので注意が必要です。

心が弱い方は、血管に負担をかけないよう気をつけながら、
適度な運動で血流を増やすことを心掛けましょう。
栄養面では、血液をサラサラにする効果が高いものが多いと言われている
赤い食べ物、たとえば、トマト、にんじん、いちご、すいか、小豆など
赤味のある食べ物を積極的に摂るようにしてみましょう。
また、味の濃いものや脂肪分が多い肉食は血液を汚すと考えますので
気をつけましょう。
その他、心が弱く、のぼせやすい方は、熱を冷ます働きがあるとされる
苦味(五味)のある飲食物(コーヒーやお茶など)を飲むようにしてみましょう。

火タイプの治療としては、三黄瀉心湯、環元清血飲、黄連解毒湯などが合いそうです。

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2021年4月19日(月)
木(肝)タイプの養生
 怒りや緊張は肝を傷めるもとです。
腹の立つことがあれば、まず深呼吸でもして心を落ち着けましょう。
慢性的な肝の疲れは、血液が再生されることで改善されます。
そのためには、たっぷり睡眠をとることです。
遅くても12時までには就寝するように心掛けてみましょう。

栄養面では、肝が弱い方は、血液を増やす食べ物がよいと考え、
にんじん、パセリ、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜や
レバー、しじみ、あさりなどを積極的に摂ってみてはいかがでしょう。
また、柑橘系の果物や酢などの酸味(五味)は、肝の働きを正常にし、
体の疲れをとり、精神のいらだちを抑えると考えます。
さらに、肝の働きが整うことで、目の疲れを癒し、眠りを深くしてくれるでしょう。

木タイプの治療としては、加味逍遥散、柴胡疎肝湯、抑肝散加陳皮半夏などが合いそうです。

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2021年4月12日(月)
再び五行説
 前回、五行説を取り上げた折には、木火土金水タイプの性格や
体質(罹りやすい病気)について述べました。
性格診断や心理分析にも使えると関心を示していただいた一方で、
タイプ別の生活養生(&食養生)や漢方処方についても
教えて欲しいとのお声もいただきました。

五行説では、
五味(ごみ:酸、苦、甘、辛、鹹※)
五色(ごしょく:青、赤、黄、白、黒)
五気(ごき:風、暑、湿、乾、寒)など養生に当たる項目もあります。
紙面の都合であまり詳しく述べることはできませんが、
次回よりそれらの項目について少し解説したいと思います。

五行説についてさらに詳しく知りたい方は、
小太郎漢方製薬株式会社のホームページ(五行チェック)をご覧ください。
※鹹はカンと読み、塩辛いこと

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2021年4月5日(月)
コーヒーは眼圧にもよい
 京大の研究チームがある健康データを分析したところ、
コーヒーをよく飲む人(1日3回以上飲む)は、あまり飲まない人(1回未満)に比べて、
眼圧が低い(その差は眼圧の平均値の3%)ことがわかったそうです。
さらに、飲む回数が増えるにつれて、眼圧はだんだんと低くなる
傾向があったとのことです。

眼圧は基本的に低い方が望ましく、特に緑内障の患者には
よくないことが多いと言われています。
今回の対象者は緑内障ではない約9000人であり、
患者に直接使った臨床データではないため、因果関係ははっきりわかっていません。
その他にもコーヒーは運動前に飲めば脂肪燃焼を促進し、
糖代謝を邪魔する内臓脂肪を減らすと言われ、血糖値も低下します。
よって糖尿病にもよいとの報告もあります。
とはいえ、コーヒーも飲みすぎるとカフェインの取り過ぎによる頭痛や胃痛、
睡眠の質の低下など、様々な症状を引き起こすとも言われていますので、
何事もご自身の体質に合った取り入れ方が望ましいでしょう。

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2021年3月29日(月)
六神丸の秘密
 ゴオウ製剤の六神丸は強心薬として知られていますが、
ここだけの話、変わった使い方をされる方もいます。
たとえば、虫歯が痛む時にそこに詰めて使う(センソには局所麻酔作用がある)、
宴会がある時に悪酔いしないように前もって飲んでおく
(ゴオウ、ユウタンにはアルコール吸収を防ぐ働きがある)などです。
またその他にも、巷で有名なED治療薬の代用として重宝されている
(センソには交感神経系を抑え、副交感神経系を興奮させる働きがある)ようです。

貴重な動物生薬を使った六神丸の秘密、いろいろあるものですね。

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2021年3月22日(月)
近頃の子供には便秘が多い
 小学生4人に1人の割合で便秘の疑いがあるそうです。
昨年の11月、全国各地の小学生1万人を集めての調査で、
排便の回数や硬さなどを10日間記録するチェックシートを配布。
結果10日間のうち2回以上、「コロコロ」「ごつごつ」の
硬い便だった児童が24.6%にのぼりました。
男女別では女子が27.4%で男子(21.7%)よりも多かったそうです。

正常な排便とは、1日に食べた量が1日かけて出るという状態です。
たとえば、排便が2日に1回なら2日分、3日に1回なら3日分というように。
この状態から外れたら便秘を疑ってください。

こどもの便秘は大人と違って重症化しやすいものです。
便秘が続くとイライラして勉強に集中できなくなるとも言われています。
健やかな毎日を過ごすためにも、お子様だけでなく、
家族みんなで排便チェックを習慣にしてみてはいかがでしょうか。

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2021年3月15日(月)
五行説・水タイプの性格&特徴
 水タイプは、おっとりしていてやさしい性格の反面、
恐がりで受け身なところもあります。
心身にストレスを受けると動作が鈍くなり、覇気のない人と見られがちです。
腎に影響が出やすい水タイプは、腎が弱ると、やり通そうとする信念がくずれ、
根気・忍耐力がなくなります。
守りに入るため用心深く、警戒心も強まり、恐怖感を持ち、決断力が低下します。
ストレスや過労から腎の働きが鈍ると歯が弱くなったりする他、疲れやすい、
手足の冷え、むくみ、腰痛、頻尿などに悩まされます。
顔色がくすみ、耳鳴りや難聴など耳に不調が現れます。

寒さに弱く、冷えやすい方は水タイプです。

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2021年3月8日(月)
五行説・金タイプの性格&特徴
 温厚で何事にも冷静に対処する金タイプは、面倒見もよく人から頼られるタイプ。
その一方で悲しみに弱く、いつまでも気持ちを引きずる面があります。
肺に影響が出やすい金タイプは、肺が弱ると、感受性に乏しくなり、
機転がきかず、運動能力や反射神経が鈍くなります。
注意力が散漫になり、うっかりミスがでます。
逆にその機能が亢進すると周囲が気になり、落ち着きがなく、
先々のことを心配するようになります。肺の不調は鼻やノドに現れやすくなります。
知人の死や失恋など大きなショックや疲労から、胸の痛みや息切れ、
ノドの腫れや鼻づまりなどに悩まされます。

体格は中肉でおおむねバランスがよく、健康な時は色白で肌がきれいですが、
皮膚が敏感な金タイプにとって空気の乾燥する秋は苦手。
乾燥に弱く、肌荒れしやすい方は金タイプです。

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2021年3月1日(月)
五行説・土タイプの性格&特徴
 じっくり考えてから行動を起こす慎重派。
おおらかで人望は厚いですが、思い悩んで行動できず優柔不断になることもあります。
脾(消化器のこと)が弱ると、クヨクヨ悩みあれこれ迷い、意欲がなくなってきます。
また、主体性がなく、一貫性もありません。
逆に、機能が亢進すると落ち着きがなく、移り気で、気が短くなり、
パッパッと何事もせっかちに早く済ませようとします。
脾に影響が出やすい土タイプにとって、ストレスや暴飲暴食は胃もたれなど
胃腸が不調となる原因に。水分代謝も低下してむくみや下痢が起こります。

新陳代謝が悪く太りやすい土タイプは、湿気の多い梅雨が苦手。
疲れると顔が黄色くなって、体力不足に。
湿気が苦手で、むくみやすい方は土タイプです。

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2021年2月22日(月)
五行説・火タイプの性格&特徴
 がんばり屋の明るい性格で、周りに振り回されずマイペースな半面、
気持ちの浮き沈みが激しい気分屋なところがあります。
これは心の影響を受けやすい火タイプの特性で、
心が弱ると、勇気が持てず消極的になり、
不安で臆病になり、夢をよく見ます。
逆に機能が亢進すると、異常に興奮してはしゃぎ、
落ち着きがなく、発作的な行動をとるようになります。
また、うれしいことがあると浮かれて夜眠れないのもこのタイプです。

新陳代謝のよい火タイプは太りにくい体質で、血行がよく、
胃腸も丈夫で体力はあるものの、汗っかきで便秘気味です。
疲れると顔が赤くなり、舌の炎症や口内炎が出やすくなります。
暑さが苦手で、ほてりやすい方は火タイプです。

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2021年2月15日(月)
五行説・木タイプの性格&特徴
 正義感が強く、何事も前向きに取り組むタイプですが、
肝に影響が出やすい木タイプは精神的ストレスが大の苦手。
肝が弱ると感情と理性のギャップに悩み、気持ちが沈んで憂鬱になったり、
意欲がわかなかったり、決断できなくて迷ったりします。
逆に、機能が亢進すると、こうでなければならないという完全主義に陥り、
何事も自分が一番と考え、人に任せられなかったり、
自分の考えにそぐわないことが目に付くと、イライラして怒りっぽくなります。
特に自律神経が不安定になる春は体調を崩しがちです。

健康な時は筋肉に張りがあり、爪が丈夫でつややかですが、
不調が目や顔色に現れやすくなります。
ストレスに弱く、イライラしがちな方は木タイプです。

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2021年2月8日(月)
五行説
 漢方の理論に五行(ごぎょう)説というものがあります。
自然界の法則を説く東洋独自の哲学で、これに基づいて治療が行われます。
自然界のすべてのものを、木火土金水(もくかどこんすい)の
5つの要素に分類したものです。
すべてのものがこのいずれかの特性を持ち、それぞれに相関関係があるとする考えです。

」は樹木が伸びやかに成長する生命力の強さや柔軟さを、
」は炎が持つ熱や上昇する勢いを、
」は土のどっしりとした豊かさや強さを、
」は鉱物や金属の持つ清涼な感じと清潔さを、
」はすべてを潤す水のような穏やかさと冷たさを象徴しているといわれます。
体質や性格も五行に基づいて分けられています。
五行診断や五行占いなどにも活用されています。

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2021年2月1日(月)
オーラルフレイルとは
 フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、
心身が衰えた状態を指し、オーラルフレイルとはその口腔版を意味します。
むせる、固い物が食べられない、滑舌が悪いといった口の機能低下です。
放置すると食が細くなって筋力が落ちたり、話しにくさから閉じこもりがちに
なったりするともいわれ、健康寿命も左右してしまうことになります。
65歳以上の高齢者を追跡調査した結果、オーラルフレイルのある人はない人より、
要介護になったり亡くなったりするリスクが
2倍以上も高いという研究結果も出ているそうです。

口を大きく開けて「アー」などと発声したり、食べにくいからと、
固い食材を避けないなど、口の機能低下が進まないように注意することです。
漢方では、甘露飲(かんろいん)などの処方がいいようです。

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2021年1月25日(月)
まじめな人が悩む健康病
 健康に気を付けるのはよくないことでしょうか?
甘いものやお酒を我慢するなど人生の楽しみを犠牲にしてまで
健康であるべきでしょうか?
健康はもちろん大事ですが、人は誰しも、健康より大事なものを
持っているのではないでしょうか。
健康ブームが過熱して、健康情報が氾濫する現代では、
「健康のためなら死んでもいい」という目的をはき違えた健康病が
蔓延しているように思います。

まじめな人ほど過剰ともいえる健康志向に陥りがちです。
健康至上主義が是となると、お酒をやめる、次はタバコ、その次は砂糖と、
いつまでもベストを目指し続けることになりかねません。
「人は健康のために生きるのではなく、生きるために健康であれ」と考え、
新しい年を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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2021年1月18日(月)
大黄のいろいろな働き
 前々回でご紹介した大黄(だいおう)は、おなかに溜まった大便を下すため、
便秘に効果を発揮する薬草と考えがちです。
下すことは単に便秘を解消するものではなく、
下すことにより疾病を治療するのが本来の目的です。
大黄は次のような目的に使用します。

①瀉下通便(しゃげつうべん):便秘を解消することで腹満(ふくまん)、
 膨満(ぼうまん)をとっておなかをスッキリさせる。
 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)、大承気湯(だいじょうきとう)、
 麻子仁丸(ましにんがん)など。

②瀉下解毒(しゃげげどく):上焦(じょうしょう)部の熱や内臓の炎症を取る。
 のぼせ、血圧上昇時に三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、胆嚢炎(たんのうえん)、
 胆石(たんせき)に大柴胡湯(だいさいことう)、
 下腹部の痛みや化膿に大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)など。

③活血化瘀(かっけつかお):月経異常や打撲などの改善。月経異常、精神障害などの時に
 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、通導散(つうどうさん)、
 打撲・捻挫の時の治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)、通導散(つうどうさん)などです。

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2021年1月12日(火)
人参いろいろ
 漢方生薬として使う人参にはいくつかの種類があり、
まず、大補(たいほ)元気に働く人参(にんじん:朝鮮人参ともいう)は
オタネニンジン(御種人参)の根で、万病薬として有名です。
漢方に万病によい物などなく、人を元気にさせることからこのように考えられたのです。
本来は、気(エネルギー)を増やす補気薬(ほきやく)です。
気を増やすので、高血圧で赤ら顔の強壮な人には向いていません。
次に竹節人参(ちくせつにんじん)はトチバニンジンの根茎です。
古方の大家・吉益東洞(よしますとうどう)が小柴胡湯(しょうさいことう)の
御種人参の代わりによく用いました。
心下痞硬(しんかひこう:みぞおちのあたりがつかえて硬い状態)によく、
健胃(けんい)、解熱、去痰(きょたん)に働きます。
最後に田三七人参(でんさんしちにんじん)です。これも根です。
血の流れをよくして、瘀血(おけつ)や出血を改善します。

生活習慣病に欠かせない存在。これら3つの生薬はいずれもウコギ科の植物です。
ちなみにカレーに入れる野菜の人参はセリ科です。

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2021年1月6日(水)
将軍と呼ばれる大黄
 新年、あけましておめでとうございます。
本年も漢方つれづれをよろしくお願いいたします。

 昔、お正月といえば、一家団欒でお雑煮やおせち料理などの贅沢な料理を
たらふく食べたものです。
しかし、現代でも一家団欒を除けばそれほど変わっていないように思います。
おせち料理は、正月の保存食でもありますが、タンパク質や脂肪、
コレステロールなどに富み、味も濃くて、美味しいため、つい食べ過ぎてしまうものです。
その上、お正月は仕事が休みで、体を動かすことも少なく、
食べては寝、寝ては食べる不規則な生活になりがち。
これではおなかにとっていいわけがありません。

こんな時おなかをスッキリさせるのが大黄(だいおう)剤。
大黄は古くから世界中で用いられてきた下剤であり、
その薬効が激しいため漢方の世界では「将軍」と呼ばれています。
大黄に甘草(かんぞう)と芒硝(ぼうしょう)を合わせると優秀な下剤になります。
将軍のお世話にならないよう、このお正月は食べすぎに気をつけたいものです。

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2020年12月28日(月)
コロナにより世界が変わった
 今年2020年はコロナに明けコロナに暮れた感があります。
オリンピックを延期へと追いやったこの感染症により世の中は一変しました。
特に人と人の接し方が変わりました。
挨拶の時、東洋では相手とあまり接触しませんが、
西洋ではキスやハグなど、相手と接触して挨拶を行う文化があります。
この違いが感染者数や死亡者数にも影響しているとの見解もあります。
残念なことですが、コロナ禍では接近してする挨拶は自粛が求められているようです。
大変恐れられているコロナ。
マスクをしたり、三密を避けたりするのは、自身がうつらないことと同時に、
他人にうつさない行動なのです。

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2020年12月21日(月)
間質性肺炎は黄芩が原因か
 かつて日本で使われる漢方エキス剤の中で断トツ一位を維持していたのが
小柴胡湯(しょうさいことう)です。
その頃は、慢性肝炎の内服薬が少ないうえ、副作用の少ない漢方薬として
発売されていたので、多くのドクターが使っていたのです。
しかし、不幸にも間質性肺炎という副作用が発生し、
一挙に人気がなくなり使われなくなりました。
薬局・薬店で取扱っているOTC(処方箋が不要の医薬品)の漢方薬では、
商品すらも置いていない状態でした。

間質性肺炎の原因は、黄芩(おうごん)という生薬と見なされたようです。
必ずしもそうではありませんが、黄芩ほか柴胡(さいこ)、半夏(はんげ)、
生姜(しょうきょう)という熱を取って乾かす生薬が処方の過半数を占めるために、
長期で飲み続けると肺が乾燥して、アレルギー炎症が起きたようです。
漢方薬に限らずお薬は、病名だけでなく、体質・症状をよくみて使うことが大切です。

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2020年12月14日(月)
日本人の好きな柴胡(剤)
 小柴胡湯を含め柴胡剤といえば、日本人が好きな漢方薬のひとつです。
本場中国ではあまり使わないそうですが、なぜ日本人が好きなのでしょうか?
日本人には神経質でまじめな性格が多いから…とも言われますが、どうなのでしょうか。

柴胡剤は、一般に柴胡+黄芩の薬対が含まれた処方のことを指します。
これは漢方の消炎解熱剤です。
内臓の各種炎症などを取り除く働きがあります。
神経質でまじめな人は、ストレスに弱い一面があります。
そんな時は、柴胡+芍薬の薬対を使う方が抗ストレス作用を発揮します。
肝に血液を補給する芍薬の力で、ストレスに弱い肝を支えます。
この場合、小柴胡湯より加味逍遥散や柴胡桂枝湯、柴胡疎肝湯が適しています。
なお、柴胡桂枝湯には柴胡+黄芩の薬対も入っています。

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2020年12月7日(月)
逆子(さかご)の漢方
 漢方では、腎(じん)が子宮や卵巣などを
支配(コントロール)していると考えます。
妊娠後期になると腎が不安定になり、特に強い恐れや驚きがなくても
奔豚(ほんとん)の病の状態(気逆:きぎゃく)になることがあります。
そのために、気が上に突き上げるので、赤ちゃんは影響されて
上に上がっていこうとして、下になっていた頭が上になります
(骨盤位:こつばんい ※俗にいう逆子(さかご))。
したがって、上昇する気を下に下げるだけで逆子が治る(胎位矯正)といいます。

胎位矯正には苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)がよいようです。
また、鍼灸の世界では、足にある至陰(しいん)や三陰交(さんいんこう)などの
ツボを刺激するとよいとのことです。
漢方では、気の異常が原因で起こると考えられます。
妊婦のことゆえ、行う時には、かかりつけの産科医にご相談ください。

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2020年11月30日(月)
動悸の漢方
 心臓の拍動を強くまたは速く感じる、脈拍が乱れるといった症状が動悸です。
激しい運動をした時には誰でも動悸を感じます。
軽い運動で動悸を感じるような場合には、心臓の働きが低下していることが原因です。
心臓の働きが低下すると全身に血液を送り出せなくなるため、
心拍数を増やすことによって、その不足を補おうとして動悸が起きます。
また、不安やストレスから起きる動悸もあります。

一般には苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)をよく用います。
これでも治まらない心臓の動悸には苓桂朮甘湯に李根皮(りこんぴ)、
呉茱萸(ごしゅゆ)、牡蛎(ぼれい)を加えた定悸飲(ていきいん)です。
下腹から上る感じで心をつく奔豚(ほんとん)の気には、
苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)。
ほかにヘソ辺りに動悸を感じる時には、竜骨牡蛎(りゅうこつぼれい)剤の
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を使います。

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2020年11月24日(火)
肥満を招く食べ方
 食欲の秋。食べ方ひとつでも肥満予防につながります。
肥満になる食べ方の1つ目は、まとめ食いです。
欠食や不規則な食事で腹が減り過ぎると、食べ過ぎになり、多めに吸収されます。
太るのが修行のお相撲さんの食べ方がまさにこれです。
2つ目は、ながら食いです。
テレビを見たり、本を読んだりしながら食べると、食べた量がわからなくなり
食べ過ぎの原因となります。
3つ目は、早食いです。早く食べると、満腹中枢が追いつかず、
意外に多く食べてしまいます。
予防策としてよく噛んでゆっくり食べることです。
4つ目は、やけ食い(気晴らし食い)です。食べ過ぎの最たるものです。
食べることで、不満やストレスを解消せずに、違う方向に目を向けましょう。

まさに不満は肥満を招きます。

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2020年11月17日(火)
冷えは万病の元?
 石原結實(いしはらゆうみ)著『病は冷えから』では、
「体を温めれば病気は治る」とあり、あらゆる病気の原因に
冷えが関わっていると唱えています。
漢方家の中にも「冷え」を病気の元凶ととらえ、
治療に応用されている方も多くいらっしゃいます。

冷えは漢方では寒証(かんしょう)ととらえ、立派な病気です。
寒証には、虚寒(きょかん)と実寒(じっかん)があります。
一般的に冷え症体質や寒がりは虚寒で、実寒は寒い環境に長くいたり、
冷たい物をたくさん取ったりしたために起こる一時的な冷えです。
冷えにより体の新陳代謝が衰え、当然のごとく免疫機能も弱り、
物が硬くなる(寒凝(かんぎょう)※冷えると硬くなる)といいます。
感染症の発熱すら体が病原体と戦っている、よい兆候であるととらえます。
また、難病といわれるガン(岩のように硬い腫瘤)も
温めることでよい方向に向うこともあるという考え方です。

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2020年11月10日(火)
あくび(欠伸)には訳がある
 秋の夜長、寝不足で日中あくびを連発した経験はありませんか。
漢方の世界では、あくびは心に潤いがなくなり、緊張している証拠と考えます。
甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)という甘い食品のような漢方薬を用います。

人は脳が疲れた時、思考が堂々めぐりしている時にあくびをします。
あれは「つまらない」という気分の現われではありません。
あくびが脳を活性化しているのです。
あくびをすると上顎(じょうがく)と下顎(かがく)を大きく開くことになります。
その動作が脳を刺激します。単に酸素を脳に送るという
生理的メッセージだけではありません。
顎(あご)を動かすことで脳の体性感覚野に直接刺激を与えて、脳を活性化しています。
つまり、「がんばれ」というエールを顎が脳に送っているのです。

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2020年11月2日(月)
眺めて心をいやす秋の七草
 七草といえば一般に正月7日の七草粥(ななくさがゆ)に用いる
早春の天然野草です。
七草粥には邪気を払い万病を除く呪術的な意味ばかりでなく、
おせち料理で疲れた胃腸を休め、野菜が乏しい冬場に不足しがちな
栄養を補うという薬膳粥の目的もあると言われています。

一方、秋の七草には、ハギ(萩)・キキョウ(桔梗)、クズ(葛)・
フジバカマ(藤袴)、オミナエシ(女郎花)、
オバナ(尾花 ※ススキのこと)・ナデシコ(撫子)があります。
山上憶良(やまのうえのおくら)が万葉集で詠んだ
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」が由来です。
花野を散策して歌を詠むことが、古来より行われていました。
秋の七草は、それを摘んだり食べたりするものではなく、
草花を愛でて心を癒すものです。

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2020年10月26日(月)
目にも五臓がある
 目は「眼睛(がんせい)」といい、漢方の概念では、
五臓(六腑)と密接な関係にあります。
「目と五輪学説」では、肺は結膜や強膜で気輪(きりん)、
肝は角膜や虹彩(こうさい)で風輪(ふうりん)、
腎は瞳孔で水輪(すいりん)、
脾は上下の眼瞼(まぶた)で肉輪(にくりん)、
心は内・外眼角(ない・がいがんかく)の毛細血管で血輪(けつりん)といい
五臓行に関わります。

たとえば、肝血が虚すと、目を滋養できず視力が衰え、
白内障や夜盲症(やもうしょう)、さらに緑内障に。
心は循環により栄養を与えるが、乾燥して目がショボショボし、
視力減退、目が充血する。
脾は気が充分でないと眼瞼下垂や眼瞼浮腫になりやすい。
肺では皮毛の衛気(えき)が不足すると外邪(がいじゃ)に刺激されて
目が赤くなり、結膜炎になりやすい。
腎は脳に通じ、それが空虚になれば、目の精気が不足し、視力も低下し、
水分代謝異常で、網膜浮腫や白内障になります。

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2020年10月19日(月)
自然免疫と獲得免疫
 抗体だけが免疫ではありません。
なぜなら、自然免疫だけでウイルスを排除できる人もいるからです。
免疫イコール抗体という考えは古い概念かもしれません。
なぜなら、新型コロナウイルスでは、抗体は免疫の中で
あまり大きな役割を担っておらず、回復した人の1/3は
ほとんど抗体を持っていなかったからです。

自然免疫で排除できなければ獲得免疫が活動します
(自然免疫が警察なら獲得免疫は軍隊のように強大)。
自然免疫では白血球の一種である食細胞が病原体を食べてくれます。
獲得免疫はさらに強力ですが発動までに数日かかります。
Tリンパ球とBリンパ球が協力して抗体をつくります。

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2020年10月12日(月)
健診と検診
 健診と検診の違いをご存じですか?
どちらも病気予防のため行うものですが、健診は「健康診断」のことで、
健康かどうか調べ、病気の危険因子を早く見つけることです。
予防医学でいう「一次予防」となります。
一方、検診は「がん検診」「歯科検診」などのように
特定の病気を早期に発見して早く治療するための「二次予防」です。
すなわち、一次予防は病気にならないようにする生活習慣の改善や
予防接種のようなもので、二次予防は、病気になってしまった人を
早期発見、早期治療することです。
また、病気になってしまった人の後遺症の進行を防ぐリハビリのようなものを
「三次予防」と呼ぶ場合もあります。

自分の健康は自分で守る」漢方治療の本質にも通じます。

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2020年10月5日(月)
日本人のコロナ死がなぜ少ない
① BCGは「訓練免疫」という仕組みで人体に備わっている
  自然免疫を活性化させ、重症化抑制に寄与している可能性がある。
② 交差免疫(過去に新型コロナと似たウイルスに感染した可能性)も
  働いているが、重症化を抑える貢献度の大きさは正確にはわかっていない。
③ 遺伝子の差異も因子の一つだが、同じアジア人でも
  住む場所によって重症化に違いがあり、決定要因ではない。
④ アジアの方が肥満や生活習慣病の程度が欧米より低く、
  重症者の数を抑え込む因子の一つ。
など「一つが決定的に重要というより、BCG、交差免疫、遺伝子などの因子が
相互補完的に働き、重症化率を大きく押し下げている」と
大阪大学の宮坂昌之教授が分析されています。

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2020年9月30日(水)
糖尿病の方はなぜ重症に?
 糖尿病は感染症にかかりやすい病気です。
その原因は高血糖による免疫力の低下と血流障害です。

免疫の中心は白血球の働きで、中でも好中球(こうちゅうきゅう)は
直接ウイルスや細菌を食べて処理します。
高血糖では好中球の働きが低下します。
リンパ球の抗体産生も障害されます。
糖尿病を持った高齢者にコロナ感染が起こると、血糖値が悪化し、
全身の動脈硬化と高血糖により血液の流れが悪くなります。
末梢組織で血流が悪くなると、白血球がウイルスや細菌を
攻撃できなくなるだけでなく、血液内の栄養や酸素、薬の移行も不充分になります。
その結果、肺炎だけでなく、血管に血栓ができやすくなり、
呼吸状態が急激に悪化します。
心臓や腎臓にも影響を及ぼし、重症に陥ります。

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2020年9月23日(水)
葛根黄連黄芩湯の使い方
 葛根黄連黄芩湯(かっこんおうれんおうごんとう)は『傷寒論』(しょうかんろん)の
太陽病中篇に出てくる処方です。
太陽病(発汗など発表して治療する)を誤って下した結果、
下痢が止まらなくなった状態に使います。
この下痢は人参湯(にんじんとう)を使うような泄瀉(せっしゃ:慢性下痢)ではなく、
粘液便でしぶり腹を伴う痢疾(りしつ:感染性下痢)に使われることが多いです。
ノロやロタウイルスなどの感染による下痢です。
人参湯で治る下痢は、早く止めることが大切です。
そうしないと、栄養が身につかず、太れません。

一方、痢疾は炎症性で、細菌がおなかに残ることがあるので、
すぐには止めない方がよいとされています。
そして、腸にある熱が上昇して、頭部や皮膚に昇った結果、
目や口にくすぶった炎症を起こすもの(口内炎、充血性眼病)にも応用されます。
解表薬(辛涼)の葛根が有効に働いています。

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2020年9月14日(月)
秋の夜長には帰脾湯
 立秋が過ぎ9月になっても、暑くて眠れぬ夜がありますが、
秋が深まり、過ごしやすい気候になっても、夜眠れないという場合は、
薬の助けが必要かも知れません。

そんな時には、漢方が最適です。

興奮しやすく、フトンに入っても、寝つきが悪いタイプでは、
入眠障害と考え、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)が適しています。
黄連解毒湯は清熱剤であり、興奮して発生した熱を冷ますことで改善してくれます。
一方、寝つきは悪くないが、すぐに目が覚めてしまって、
睡眠を長く維持できない、熟眠障害であれば帰脾湯(きひとう)を用います。
熟睡感がない。性格的に心配性で、睡眠を維持する血の消耗が激しい方です。
入眠障害と熟眠障害の両方があるのなら加味逍遥散(かみしょうようさん)が向いています。

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2020年9月7日(月)
苓桂朮甘湯ファミリー
 世の中には、宵っ張りの朝寝坊であるフクロウ型人間がおられます。
朝が苦手なスロースターターで、飲食も夜型で、水分の代謝が悪く、
朝方まで水毒が残り、起きられない方です。
こんな方には、漢方の世界では苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)が適します。
水毒証なので、胃内停水があったり、尿量減少して口が乾いたり、
臥蚕(がさん:目の下の膨らみ)がでやすいなどの特徴があります。

苓桂朮甘湯には、いろいろな合方(あるいは加味方)があります。
四物湯(しもつとう)と合方したものが連珠飲(れんじゅいん)です。
貧血によって起こるめまい、動悸、耳鳴りなどの上半身の不定愁訴に効果があります。
また、これに呉茱萸(ごしゅゆ)、牡蛎(ぼれい)、李皮(りひ)を加味した
定悸飲(ていきいん:動悸改善が得意)。
車前子(しゃぜんし)、細辛(さいしん)、黄連(おうれん)を加えたのが
明朗飲(めいろういん:目全般によい)です。

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2020年8月31日(月)
桂皮と桂枝の違い
 桂皮(けいひ)も桂枝(けいし)もクスノキ科の常緑高木で、
基原植物は同じです。
・桂枝は若い細枝またはその樹皮(直径1㎝以下の枝を切断)。
・桂皮は木の幹の皮(一定の幅で剥ぎ取ったもの。肉桂(にっけい)とも呼ばれる)。
このように部位が異なれば、成分や効能も違ってきます。

桂枝は、桂皮に比べ作用は穏やかで、解表(げひょう:体表部を温める)作用を持ち、
麻黄(まおう)や生姜(しょうきょう)などと同じ分類に入ります。
発汗を目的にする処方である葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)に
用いる場合に適しています。
一方、桂皮(肉桂)は作用が強く、温裏(おんり:体内から温める)薬に分類され、
附子(ぶし)や乾姜(かんきょう)と同じ仲間です。
処方の性質上、八味地黄丸(はちみじおうがん)や
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などに用いる場合に適しています。
日本では、区別しないことが多く、局方品は桂皮しかありませんので、
桂皮しか使えません。

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2020年8月25日(火)
一歩前進させる漢方
 ガン治療などで医師が「やるべきことは、すべて試みました。打つ手はありません」と
言うのをドラマ、あるいは実生活で聞いたことがあるという方も
いらっしゃるかもしれません。この打つ手がなくなったというのは、
西洋医学の分野で治療法がなくなったということです。
「後はお好きな治療を、本人が満足されるまでお試しください」と
言われたらどうでしょうか。
漢方などの伝統医学に目を向ければ、まだまだ方法があるかもしれません。
とはいえ、漢方はエビデンス(科学的根拠)が乏しいものです。
しかし、乏しいということはイコール効き目がないということではありません。
視点を変えれば、道が開けることがあります。

西洋医学は「治し」の手段で、漢方は「癒し」も兼ね備えた手段ではないかと感じるのです。
後者は治った治らないの二極化では計れないもの。
とにかく一歩前進させ、気分転換を図ることも大切なのではないでしょうか。

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2020年8月17日(月)
熱中症の対策
 熱中症の症状の一つに脱水症状があり、高齢者の中には、
1日2Lの水を飲むことを心掛けている方がいらっしゃいます。
しかし、これでは、漢方でいう「水毒」になってしまいます。
不足分の水を摂れば、すべて体に保持できると思いがちですが、
そんな単純なものではありません。

体液より薄い水は摂ってもすぐに尿や汗に変わり、体外に放出されてしまいます。
したがって、体の細胞は潤わず、潤うのは胃や腸管ばかりで、
おなかがチャプチャプ(水毒)するだけです。
ですので、熱中症対策の水分補給ということであれば、
塩分やミネラルを含んだ水分を摂ることを心がけましょう。
中でもミネラルを含む麦茶がよいでしょう。
同じお茶でも緑茶やコーヒーなどカフェイン飲料は利尿に働いてしまうため
注意が必要です。
そのほかには飲む点滴といわれる甘酒(米麹)などもよいでしょう。

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2020年8月3日(月)
熱中症は陰虚
 今年の夏は、コロナ禍の影響で、熱中症対策に苦労されている方が
多いのではないでしょうか。また、新型コロナ感染症と熱中症の症状が
大変似ているため、それがストレスにもなります。
外出時はマスクをしているため、熱がこもり、息苦しくなります。
そして、体の疲れがいつまでもとれません。
特に高齢者では、ノドの渇きを感じにくく、気付けば重症になっていることも
少なくありません。

熱中症の軽症では、めまいや足がつる。
症状が進めば、だるさ、吐き気や頭痛が起きます。
漢方ではこのような状態は、腎の陰虚と考えます。
脱水で陰液(血液や水)が減り、体温(体の熱)を下げられなくて、
意識障害に発展することも。
寝苦しい夏ですが、たっぷり睡眠をとって、
清暑益気湯や生脈散などでケアしてください。

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2020年7月27日(月)
いろいろなショウガ
 夏の健康食品・ショウガ。
漢方では、修治(しゅうち:蒸したり炒めたりの加工)により名前が変わります。
また、日本と中国では呼称が違うため注意が必要です。

中国で生姜(しょうきょう)といえば、八百屋で売っている生のヒネショウガ。
日本では、これを鮮姜(せんきょう)といいますが、
薬用としては、この生の生姜(鮮姜)は用いず、
天日で乾燥した生姜(生姜の重さの1/3~1/4でよい)を用います。
しかし、中国ではこれが乾姜(かんきょう)となります。
日本の乾姜は蒸した後に乾燥したものを指し、
全体が飴色の角質になります(黒姜:こくきょう)。
中国では、これに近い状態に加工したものは、炮姜(ほうきょう)と呼ばれるのです。
それぞれ薬能が違い、生姜(しょうきょう)は解表(げひょう)・止嘔(しおう)、
乾姜(かんきょう)は温裏・補陽(おんり・ほよう:体を中から温める)で、
小太郎漢方製薬の商品では、すべて使い分けをしております。

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2020年7月20日(月)
和諧(わかい)とは
 和諧という言葉をご存知でしょうか。和解(仲直り)ではありません。
和とは、「和睦」すなわち心を合わせて助け合う。
諧とは、「協調」すなわち衝突がないことです。

明治以降に日本の医学は、漢方から蘭方(西洋医学)に取って代わりました。
それ以降、紆余曲折があり、昭和になって漢方が蘇りました。
「漢方と西洋医学の和諧を願って…」とは、単なる東西医学の調和という
意味にとどまらず、異なる2つのものが両立して、
互いに生かし生かされることを目指したすばらしい言葉です。

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2020年7月13日(月)
新型コロナウイルス対策
 令和2年もほぼ半分が過ぎました。
今年の正月は、東京オリンピックイヤーの幕開けで、盛り上がっていましたが、
その後は、新型コロナウイルス感染症の拡大でパンデミック(世界的大流行)になり、
社会が一変しました。

漢方では、この感染症は湿毒疫(しつどくえき)といわれ、
湿性の特徴を備えているため、はじめ穏やかで進行が遅いが、
熱と結びついて毒性が高まると急に悪化します。
軽症、中等症の治療としては、中医学の清肺排毒湯が適しているようです。
エキス剤で代用するなら、麻杏甘石湯、胃苓湯、小柴胡湯加桔梗石膏の3つを
服用すればよいとの報告があります。
また、温病に近いと考えられるので、銀翹散に麻杏甘石湯を合わせ、
さらに清熱の板藍根を加えてもよいともいわれています。

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2020年7月6日(月)
七夕にホオズキの秘密
 7月といえば七夕。この頃、田の草取りの最中で重労働が続き、
しかも蒸し暑くて体力の消耗が激しく、休養日(農業節句)として、
七夕は考え出されたようです。
農業は重労働ですので、女体保護という観点から、
七夕にはホオズキ(鬼灯)の根を煎じて飲む風習が
あったようです。

この根(酸漿根:さんしょうこん)には緩下作用のほか
利尿、解熱、咳止めなどの効があります。
しかし、飲み過ぎると堕胎する恐れもあり、妊婦には要注意です。
笹にホオズキを下げる風習が今でも西日本に残っているそうです。
ホオズキの根を煎じて飲むことが、実を下げて祭ることに
変わっていったようです。

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2020年7月6日(月)
しびれの原因はいろいろ
 一般に、しびれと言うと正座をした後の足のしびれを
思い浮かべるでしょう。
正座の後、はじめは自分の足に触っても足には手が触れている
感覚がありません。足の感覚がなくなっている感じです。
しばらくすると足はビリビリと痛いようなくすぐったいような異常感覚に襲われます。
その感覚が薄れるにつれて足の感覚は戻ってきます。
しびれは、脳梗塞や脳腫瘍のような脳の病気に思われがちですが、
「しびれ」→「痺れ」→「痺証(ひしょう)」から想像して、
血の循環障害が原因で起こっているようです。
痛みよりしびれが顕著な場合は、その病気は治りにくく、
長引く恐れがあります。漢方では、頑証(がんしょう:頑固な痺証)
と考えて独活寄生丸(どっかつきせいがん)を用います。

コロナウイルスの影響で、ステイホーム(家に居よう)が呼びかけられる中、
いつものように体を動かせず、血行が悪くなり、
足腰の痛みやしびれなどの不調が増幅しているという方も
少なくないかもしれません。
家の中でできる簡単な運動を無理のない範囲で行ってみるのも
血の循環を良くするためにもよいでしょう。

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2020年6月30日(火)
いつまで女は家庭、男は仕事?
 20代前半の女性は男性とほとんど変わらない賃金を得ているのに、
30代に入ると男性の8割ほどになります。
非正規雇用の割合が男性の2倍に上り、管理職も少ないため、
女性の賃金は男性より16%低く、男女の賃金格差は年齢が上がるほど
大きくなります。
日本における男女格差(ジェンダーギャップ)は世界でも問題になっています。
その上、女性には命にかかわることもある妊娠・出産が待ち受けています。
また、子育てのための授乳は心臓へのストレス(周産期心筋症になりやすい)が
多大という最近の報告もあります。

ジェンダーギャップに疲れた時は、漢方で心身を整えて、癒してあげませんか。
がんばる女性を応援する漢方薬「芎帰調血飲第一加減
(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)」がおすすめです。
21種類の生薬が働く女性や母親の体や心にやさしく働きかけ、
血液の流れをよくしてホルモンバランスを回復してくれる
理想の漢方薬です。

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2020年6月22日(月)
夏の養生
 高温多湿の蒸し暑い夏がやって来ました。
『黄帝内経(こうていだいけい)』では、夏は草木が成長し、
万物が茂り花咲き乱れ、陽気が最高潮に達する季節として、
その養生を説いています。

①少しは夜更かしをしてもよいが、朝は早く起き、日中が長いからといって怠けない。
②適度に運動して、1日1回は汗をかく。
③精神的にも気分を発散する。
暑いからといって、汗をかかなかったり、冷たいものや冷房ばかりに頼っていると、
熱が体にこもり心臓に負担がかかります。
これを夏中続けていると下痢をし、秋には咳で苦しめられます。
夏は体の水分が減る(消化管の中は水浸しでも細胞自体は水分不足)ので、
生脈散(しょうみゃくさん)や清暑益気湯(せいしょえっきとう)などで
補陰(ほいん:水分を補うこと)を忘れないようにしましょう。

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2020年6月15日(月)
漢方の六経
 漢方の出版物が少なかった時代、
漢方の大家・大塚敬節(おおつかけいせつ ※本名:よしのり)先生は
師匠に当たる湯本求真(ゆもときゅうしん)先生から
漢方の入門書として次の6冊を勧められたそうです。
・尾台榕堂(おだいようどう)著『類聚方広義(るいじゅほうこうぎ)』、
 『方伎雑誌(ほうぎざっし)』
・稲葉文礼(いなばぶんれい)著『腹証奇覧(ふくしょうきらん)』
 (和久田叔虎(わくたしゅくこ)著『腹証奇覧翼(ふくしょうきらんよく)』)
・永富独嘯庵(ながとみどくしょうあん)著『漫游雑記(まんゆうざっき)』
・有持桂里(ありもちけいり)著『方輿輗(ほうよげい)』
・吉益東洞(よしますとうどう)著『薬徴(やくちょう)』

もちろん、漢方の古典である『傷寒論(しょうかんろん)』や
『金匱要略(きんきようりゃく)』は外せませんが、
この2冊のほかに6冊を熟読すれば、いろいろな古典を渡り歩かずとも
よいとのことです。
江戸時代の武士の教養として四書五経(ししょごきょう)がよく読まれました。
まさに漢方の四書五経に匹敵するものです。

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2020年6月8日(月)
やはり免疫しかない?
 新型コロナウイルスに感染して、治療薬もなく、
患者数が拡大していく中で、やはり各自の免疫力に期待するしかないのでしようか。
免疫とは疫(感染症)を免れるとの意で、
免疫細胞には白血球やマクロファージ(自然免疫)と抗体(獲得免疫)などがあります。
これらの細胞を単に増やすだけではなく、
このシステムがバランスよく働くことが大切です。
免疫系の働きをよくする生活とは、まずはストレスをためない。
2番目は何か運動をする。
3番目に酒やタバコを止める。
4番目は充分な睡眠をとる。
最後に栄養バランスのとれた食事をする。
すなわち、誰にでもできる規則正しい生活をすることなのです。

漢方薬で免疫力を高めてくれる処方といえば、玉屏風散(ぎょくへいふうさん)が
これに匹敵します。
※玉屏風散については、漢方つれづれ2019年1月25日(月)『病人を治す漢方』や
2019年4月22日(月)『花冷えに玉屏風散』なども併せてお読みください。

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2020年6月1日(月)
暗病反(あんびょうたん)
 前回の明元素と反対に、暗くて病的で反抗的という意味から
つくられた熟語が暗病反です。
暗くて否定的な言葉の暗病反はできるだけ使わないようにしたいものです。
現状を維持する言葉でもあり、進歩がありません。

「忙しい。疲れた。どうせ。どうでもいい。やってられない。
難しい。つまらない。できない。いやだ。困難だ。ダメだ。
金がない。まずい。もう年だ。きたない。どうしよう。
バカヤロー。不幸だ。やりたくない。おもしろくない。困った。
マイッタ。苦しい。つらい。失敗した。わからない。大変だ」
このような言葉ばかりを並べていると、気持ちが沈んで益々暗くなってきます。
病気にかかっている方と接する機会が多い医師や薬剤師の方々は
意識して使わないことも必要なのではないでしょうか。
治療成果にも影響するのではないかと思うのです。

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2020年5月28日(木)
明元素(めいげんそ)
 明るく、元気で、素直に、という意味からつくられた熟語が明元素です。
明るくて元気がでる、顧客に好印象を与え、現状を打破する言葉でもあります。
景気が悪く、暗い時代にはもってこい。
わたくしどもを含め、商売に携わる人には明元素を使って、
明るく振舞っていきたいものです。

ありがとう。お元気さま。充実している。頑張ります。
簡単だ。おもしろい。できる。素敵だ。楽だ。やれる。
金がある。美味しい。まだ若い。きれいだ。努力します。
利口だ。幸せだ。やってみよう。楽しい。元気だ。素晴らしい。
試みる。イケル。可能だ。美しい。うれしい。挑戦します

このような言葉を常に発して、気持ちを切り替えておくと、
家(店)は明るくなり自然とお友達(お客様)が集まってきます。

そしてお客様の喜ぶ顔こそ、商売人の明元素です。
自粛が緩和されてお買い物に行かれる方も多いと思います。
どうぞ、楽しいお買い物をなさってくださいね。

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2020年5月18日(月)
きれい好きの功罪
 日本人は元来きれい好きな国民です。
免疫の世界では、細菌やウイルスを撃退する命令を出すTh1と
それ以外の異物を撃退するTh2(どちらもT細胞)があります。
日本では、戦後の高度成長とともに衛生環境も整ったため、
細菌やウイルスの危険にさらされることが激減しました。
その結果、Th1が使われなくなりTh2が増え、
アレルギー病が増えたと言われています。
Th1を増やすには昔のように子供に泥んこ遊びをさせたり、
納豆やヨーグルトなどの発酵食品をとったりすることがよいようです。
また、ある種の漢方薬を服用させるということもあるようです。

私たちの身の回りにはいろいろな共生菌がいて、人間を守ってくれています。
清潔志向の行き過ぎが、共生菌まで排除し体のバランスを崩しました。
アレルギーなどの現代病はそのつけが回って来たものです。

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2020年5月11日(月)
五月五日は「くすりの日」
 1400年前の5月5日に推古天皇が薬草採集したことから、
日本書紀に「くすりの日」として記録されています。
鹿の角袋(鹿茸)を取るために鹿狩りをする風習が
中国から朝鮮半島を経て我が国へ伝わったものです。
鹿は何千年も生きるとか、一頭の雄鹿が何百頭の雌鹿を従えると信じられ、
鹿の角や肉が不老長寿や強精薬として珍重されていました。

この「くすり狩り」はやがて生き物を殺すことを禁じる仏教の影響で、
薬草を採集することのみを指すようになりました。
宮廷の大切な行事のひとつでもあります。
端午の節句(5/5)を境に、気候が急に暑くなり、病気にかかりやすくなるため、
菖蒲、ヨモギを軒に挿し、ちまきや柏餅を食べて邪気を払う習慣ができたそうです。
日々の気温差が激しい現代にも通じることですね。
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2020年5月11日(月)
鉱物生薬で不老不死か
 古代人は自然界の恵みを口に入れて、薬効を調べました。
その色や形、味、生育地などからどのような働きがあるかを推測したと
言われています(いわゆる象形薬理)。
精神安定に働く鉱物生薬に竜骨や牡蛎などがありますが、
象形薬理的にいうと、重いものは気を鎮めて落ち着かせます(重鎮安神薬)。

また、鉱物生薬は、不老不死の薬でもありました。
腐ったり変質する植物・動物生薬と違い、鉱物は永遠に変わらぬ姿を保つため、
神仙薬として重宝されたのです。
中国の皇帝は、これが長寿につながると考えて、積極的にとり入れたそうです。
その中の雄黄(ゆうおう・一部ヒ素化合物を含む)や
丹砂(たんさ・一部水銀化合物を含む)など逆に毒性があり、
命を落とすものさえあったと言われています。
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2020年4月27日(月)
アンジー効果の是非
 将来がんになるリスクを下げるため、HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)の
患者が受ける予防切除(がんになっていない部分をとる)。
その1年間(2018.9~2019.8まで)の手術件数が、乳房切除は85人、
卵管・卵巣切除は175人と発表されました。
HBOCの女性が生涯で乳がんになるリスクは40~90%と、
日本人女性全体の9%に比べて高くなっています。
また、卵巣がんになるリスクは20~60%となるそうです。

かつて米女優のアンジェリーナ・ジョリーさんがこの手術を受けて話題になり、
米国では希望者が急増したそうです(アンジー効果)。
賛否両論あるようですが、HBOCの女性にとって将来のリスクを
排除できるかもしれない選択が自分でできる時代になってきていることは
間違いないでしょう。
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2020年4月20日(月)
大神神社の鎮花祭
 花見の季節は過ぎてしまいましたが、季節柄「花」のつく行事が多い4月です。
桜が散る季節に合わせて行われるのが「鎮花祭(はなしずめのまつり)」です。
かつて桜が散る頃、花びらにのって疫病が蔓延し、人々を悩ませたことに始まります。
この疫神を鎮めるために行われたのが鎮花と言われ、
起源は大和時代にさかのぼります。
特に奈良県の大神神社(おおみわじんじゃ)の鎮花祭が有名で、
薬業関係の方々がたくさん参詣されます。

大神神社は、あの古代ロマン(記紀・万葉)の世界へ誘う
「山の辺の道」の桜井側にあります。
日本最古の神社で、後ろにそびえる「三輪山」がご神体です。
最近はパワースポットとして若い方にも人気があります。
疫病との闘いは大和時代から続いています。
来年の桜は、心穏やかに眺めたいですね。
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2020年4月13日(月)
美容にも大切な三余とは
 漢方では、髪・歯・爪をそれぞれ、血・骨・筋の余りと考えます。
それらをあわせて三余(さんよ)と呼びます。
まず髪は「血余(けつよ)」といわれ、血液の一部と考えられています。
貧血などで血液が不足すれば、体の末端にある髪の毛まで血液がまわらず、
髪は細くなってコシがなくなり、抜けたりします。
次に歯。体から唯一露出しているとされている骨ですが、歯が丈夫なら全身の骨格も丈夫です。
「腎(じん)は髄(ずい)を生じ、骨を主り、歯は骨の余り」といわれるように
腎の働きとかかわっています。
最後に爪。その半透明で硬い質感から、爪を骨の一部と勘違いしている人が多いようですが、
実はケラチンというタンパク質です。
別名「筋余」ともいわれる爪は、その構成成分から筋や皮膚に近く、
これらが角化したものと考えられています。
「肝は筋を主る」といわれるように、肝(かん)が健康でないと
爪がデコボコになったり、もろくなったり、爪の色が白っぽくなったりするのです。

このように漢方では見た目でその方の体質を診る「望診(ぼうしん)」というものも
大切にしています。
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2020年4月6日(月)
認知症に間違いやすい疾患
 80歳以上で腰の痛みがある人は、痛みがない人に比べて
認知症になるリスクが半分になるそうです。
80歳以上で腰の痛みを感じること自体が、
脳の機能を維持できている証拠でもあります。

認知症のように見えても認知症ではない場合がたくさんあります。
よく言われるのは「加齢に伴う物忘れ」です。
たとえば、朝食で何を食べたか思い出せないなど記憶の一部を忘れてしまうのに対して、
「認知症による物忘れ」では朝食をとったこと自体を忘れてしまうのです。
そのほか、うつ病やせん妄、甲状腺の機能低下などがあります。
認知症とされた人の2.6%が甲状腺の機能が低下していたとの報告もあります。
心配な方は、しっかり検査を受けて、早めに治療を受けましょう。
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2020年3月30日(月)
一無・二少・三多
 元気で長生きするには「一無・二少・三多」が肝要です。
一無」は、タバコは吸わない。
喫煙の習慣は、ストレスを解消したり、ダイエットに適している
という方もおられますが、煙を体内に入れるのは、百害あって一利なし。
特に周りの害(副流煙の害)は計り知れません。

二少」は食事と酒量のこと。
どちらも程々にできれば、体にとってこれほど素晴らしいものはありません。
欲の強い人間にとってはセーブが必要です。

最後に「三多」は「多動、多休、多接」です。
「多動、多休」はたくさん動いて、たくさん休むことです。
多動でないと多休とはいかないでしょう。
「多接」とは多くの人や物に接して創造的な生活をすること。
人はひとりでは生きていけませんので。
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2020年3月23日(月)
紫根牡蛎湯
 紫根牡蛎湯(しこんぼれいとう)をご存知でしょうか。
紫根牡蛎湯は、無名の頑瘡(がんそう:病名がわからないが、手足や顔、胸背などにできて、
なかなか治らない皮膚病、リンパ・乳腺の腫物、膿瘍などをさす)に
よく使用される漢方処方です。
頑瘡はすぐには治らない、治ってもよく再発する、繰り返し起こり
慢性化するといったたちの悪いものです。
そのような腫物に対して著効を示すのが紫根牡蛎湯です。

この処方の主薬である紫根(シコン)は、その昔、王侯貴族しか
用いることができない高貴な色で、庶民には高嶺の植物であったムラサキです。
紫根の植物名ムラサキは「群れ咲き」がなまったもので、
この名から紫色という言葉ができたそうです。
このシコンは、コウカ(紅花)、アイ(藍)とともに、日本三大色素のひとつです。
紫根は塗っても(紫雲膏:シウンコウという軟膏にも配合)、
飲んでも役く立つ貴重な薬草です。
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2020年3月16日(月)
PFAS
 花粉症の人が果物や野菜を食べるとノドがイガイガする、唇がはれる、
口の中がヒリヒリするなど口周辺に症状が現れる場合、
PFAS(Pollen-Food Allergy Syndorome花粉-食物アレルギー症候群)と考えられます。
花粉症のアレルギー反応は、鼻や目から体内に入った花粉を追い出そうとして
抗体が作られ、その抗体が花粉とくっつくことで鼻や目が刺激されます。

ではなぜ果物や野菜を食べると症状が出るのでしょうか。
それは花粉症の原因物質と似たタンパク質が果物や野菜に含まれているからです。
花粉はスギやヒノキだけではなく、年中何らかの花粉が飛んでいます。
スギやヒノキだとトマト、イネなどではメロンやスイカで起こりやすいようですが、
加熱すれば大丈夫だと言われています。
※ただし、大豆(特に豆乳、もやし)では加熱してもアナフィラキシーを起こす
 可能性があります。
 食材によっては注意が必要です。
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2020年3月9日(月)
板藍根を使いこなす
 中国では、抗菌抗ウイルスの働きで知られている板藍根(ばんらんこん)は、
藍染めに使われる藍と同系統のアブラナ科のホソバタイセイの根です。
漢方の薬能では、清熱解毒(せいねつげどく)薬に分類され、
熱を冷まし炎症を取る作用があります。


この処方は次のような方にオススメです。
①風邪をひきやすい方
②よく熱が出たり、ノドが腫れやすい方
③口内炎やヘルペスができやすい方
④細菌性の下痢で、おなかをこわしやすい方
⑤ニキビやお肌の出来物がよく化膿する方などに、
基本となる処方と併用して用いられます。
たとえば、①の場合には玉屏風散。②や⑤の場合には荊防敗毒散。
③や④の場合には黄連解毒湯というように。
また、最近では、口腔内細菌を抑える働きから
歯周病などにも応用されています。
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2020年3月2日(月)
からだのリフォーム?
 物を大切にする。大事に扱う。いわゆる「もったいない」精神からか、
衣類をリフォームして使う、家電などの故障もすぐに買い替えずに、
直して使うなど、景気が低迷する頃は、このような修理屋さんが繁盛するようです。
考えてみれば、我々薬屋もそもそも、からだの修理(修復)に
必要な物質を提供しているに過ぎません。
特に、体の器官は機械のように簡単に取り換えがききません
(これからはiPS細胞を使った再生医療で取り換えがきくかもしれませんが…)。
だからこそ、年相応、体力相応という考えに立って、
その状態にふさわしい生活に変えていく養生が大切です。

かけがえのない私たちの体、年をとったら無理をせず
マイペースで、ボチボチいきたいものです。
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2020年2月25日(火)
抗生物質の使い過ぎ
 最近では、かぜの治療に抗生物質を出さなくなりました。
以前はかぜといえば必ずと言っていいほど解熱剤や鎮咳剤、
抗ヒスタミン剤などと一緒に出されていました。
抗生物質は肺炎などを起こす病原菌には効果がありますが、
かぜの原因であるウイルスには効かないからです。

感染症の予防として、今も抗生物質が使われていますが、
抗生物質は腸内細菌に影響を及ぼすため、体に必要な菌まで殺してしまう
恐れがあります。これを使い過ぎると薬剤耐性菌ができるため、
いざ必要な時に効かず、高齢者を中心に8000人を超す日本人が
毎年死亡しているとニュースになりました。
そんな時、漢方の抗生物質といわれる荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)が重宝します。
殺菌効果があり、耐性菌をつくらないからです。
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2020年2月17日(月)
鼻炎から咳へ
 花粉症の季節です。鼻炎に苦しめられている人がたくさんおられます。
かつて、鼻炎といえばちくのう症が多かったものです。
現在は副鼻腔炎(ふくびくうえん)といいます。
症状は粘り気のある鼻汁、鼻づまり、頭重など。
これが慢性化すると、後鼻漏(こうびろう:鼻汁が鼻の奥からノドに落ち込む)、
咳、痰、微熱などを引き起こします。

こんな時には、咳を治すよりも鼻炎を治すことが先決。
したがって、葛根湯加辛夷川芎(かっこんとうかしんいせんきゅう)や
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)を使います。
花粉症を合併して副鼻腔炎を起こしている方にも用いられます。
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2020年2月10日(月)
奔豚気病
 ヘソのあたりから何か球のようなものが胸に向かって突き上げてくる。
それが数秒で胸に達すると、脈が早くなり、胸苦しさを訴える。
しばらくすると元に戻るが、発作の時には、
不安で立っていられなくなり、失神しそうになる。
これが漢方でいう奔豚気病(ほんとんきびょう)です。
まるで子豚が腹の底から胸に突き上げてくるようなので、このように呼ばれています。
気逆(きぎゃく)の一種で、パニック障害やヒステリーなどによく似ています。

漢方では奔豚湯(甘草、川芎、当帰、半夏、黄芩、葛根、芍薬、生姜、李根皮)や、
苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう:小太郎漢方製薬にエキス剤あり)が用いられます。
現代医学では精神安定剤を中心に治療にあたります。
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2020年2月3日(月)
敗鼓皮丸という処方
 「叩き続けて破れた古い太鼓の皮」を使ってつくられた
「敗鼓皮丸(はいこひがん)」は、「むくんだ病気」に使われたといいます。
魯迅(ろじん)の父親の病気は全身がむくみ、
腹水がたまって腹が膨らむ難病でした。
このような病気を漢方では鼓腸(こちょう)といいます。
お腹が太鼓のように膨らんでいるから、破れた太鼓の皮で
つくられた薬を使えば治ると考えたようです。
単なる名前からの連想に過ぎない漢方薬を、
高名な漢方医でさえ処方する中国に、魯迅は失望しました。
腹水には、昔から小豆や鯉などをよく用い、
処方としては、赤小豆鯉魚湯(せきしょうずりぎょとう)などがあります。

現在では、補気建中湯(ほきけんちゅうとう)という服用しやすいエキス剤が
小太郎漢方製薬から発売されています。
このような腹水でお困りの方には、ぜひ一度お試しいただきたいと存じます。
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2020年1月27日(月)
足るを知る
 石庭で有名な京都の龍安寺。そのつくばい(茶庭の手水鉢)には
「吾唯知足」、皆さんもよく耳にされたことのある
「われただ足(た)るを知る」と刻まれています。
これは仏経の教えの「知足」です。
「足(た)るを知る者は貧しくても心は富み、
足るを知らぬ者は富んでいても心は貧しい」という教えです。
物欲、食欲、性欲など人の欲望には限りがありません。
その欲を抑え、分をわきまえることの大切さ
を説いています。
どこかで満足しなければ幸せ(健康や富など)が訪れないということでしょう。

漢方の「実証」の概念もそれに通じるように思います。
実証が虚証より健康という時代は終わり、
中庸こそ健康のベストなのではないでしょうか。
多過ぎても少な過ぎてもダメ。今増えている生活習慣病は
「足るを知らぬ者」のツケが身体に回って来ただけのように感じる次第です。
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2020年1月20日(月)
補天立極(ホテンリッキョク)
 直訳すれば「天を補い真っ直ぐたたせる」との意で、医学的には、
自然の摂理を大切にしながら、患者の病気を治すこと。
病気は決して医者の力だけで治しているわけではなく、
患者の持っている自然治癒力を最大限に引き出すことが大切であり、
そのために医者がいるという、幕末の名医・原老柳の考え。
漢方医学の治療原則にも通じます。

学の洪庵か、術の老柳」といわれた人です。
あの時代に緒方洪庵をしのぐ名声を博したほどの人物でした。
治療費の支払いも変わっており、名前を書いた紙に銭を包み、
水を張ったタライに入れるだけ。
時間がたつと紙は水に溶けて誰が幾ら払ったかがわからない。
貧しかろうが、金持ちだろうが、分け隔てなく治療に当たった
仁医でもありました。
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2020年1月14日(火)
二味の薬対
 漢方処方は数種の生薬の集合体で形成されています。
10種類程度からなる処方も中心となる生薬がわかれば、
自ずとその働きがわかってきます。
たとえば、柴胡(さいこ)剤は柴胡と黄芩(おうごん)のペアで
胸脇苦満(きょうきょうくまん)を取り除きます。
瀉心湯(しゃしんとう)類は黄連(おうれん)と黄芩のペアで、
心下痞硬(しんかひこう:みぞおちのあたりがつかえて硬い状態)を解消します。
また、甘草乾姜湯(かんぞうかんきょうとう:甘草と乾姜)や
小半夏湯(しょうはんげとう:生姜と半夏)など二味だけでできた処方があります。
この二味がベースとなり、甘草乾姜湯は人参湯(にんじんとう)や
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)などを構成します、小半夏湯から
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)やニ陳湯(にちんとう)ができます。

二味の薬対(やくつい)は、相手を最大限に引き出す、まるで一組の夫婦(ユニット)
ようなものです。二味で最も繁用され、実際良く使われているのは、
痛みの芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)や
便秘の大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)でしょう。
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2020年1月6日(月)
令和2年はオリンピックイヤー
 あけましておめでとうございます。本年も「漢方つれづれ」をよろしくお願い致します。

2020年は東京オリンピックが開催されます。
東京では、二度目のオリンピックとなりますが、第1回目の1964年の
オリンピックを経験した世代では、クーベルタン男爵が唱えた
「オリンピックは参加することに意義がある」という言葉が、
今も脳裏に浮かびます。

昨今では、オリンピックやワールドカップなどの世界大会では、
出場するための予選が大変です。運よく参加できたとしても、
次に「勝たないといけない」「メダルの数を一つでも多く」との
風潮があります。
オリンピックの理想は、「人生にとって大切なことは成功することではなく
努力すること」
なのです。決して相手に勝つことだけではなく、
参加してその過程を楽しみ、世界の人々と平和に付き合う努力が大切なのです。
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